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カインとオーエンの因縁はここから始まった!ケインとアベルによる、30年の確執がまほやくにからみつく!

お互いの目を持っている因縁コンビ、カインとオーエン。今回はこのふたりの魔法使いに関わる元ネタについて考察していきたいと思います。

前にオーエンの元ネタ「そしてだれもいなくなった」について考察しました。今回はカインの元ネタとされている、旧約聖書の「カインとアベル」、そしてふたりの元ネタと思われる、ふたりの因縁の男の人生を描いた小説「ケインとアベル」の二本を考察していきます。

「そして誰もいなくなった」の考察はこちらから↓

オーエン×そして誰もいなくなった

魔法使いの約束に登場するキャラクター達の根幹を形作っているのは、数々の有名文学作品達です。まほやくのキャラには、それぞれモチーフがあるんですね。今回は不穏な言葉で人の心を惑わせる、北の魔法使い・オーエンの考察です。オーエン×元ネタ[…]

書きたいことが盛りだくさんなので、今回はじっくり考察になるので長くなりますよ~。お時間あるときに、ゆっくり読んで下さいね。ここからはネタバレも含まれますのでご注意を!

それでは、レッツゴー♪

カインのモチーフは結局だれ?

本格的な語りに入る前にひとつ。まほやくのカインは旧約聖書のカイン・小説のケイン・アーサー王伝説の騎士など、様々なキャラクターから少しずつモチーフを得て形作られています。

カインに限らずですが、まほやくのキャラクターはメインモチーフとなる元ネタ小説がありますが、その実、他のキャラクターの元ネタからも影響を受けていることが多いです。

例えばシノのメインモチーフである「嵐が丘」という小説に登場する、キャサリンという未目麗しいお嬢さんの容姿は、ヒースクリフに受け継がれています。ルチルのメインモチーフである「青い鳥」にでてくるイヌは、兄妹を守ろうとする姿がミスラに受け継がれていたりなど。

カインも色々な作品から影響を受けていると思われます。

  • 外見は「そして誰もいなくなった」にでてくる陽キャから(多分)
  • 騎士道精神は「アーサー王伝説」から(多分)
  • オーエンとの関係性は小説の「ケインとアベル」から(多分)
  • 名前のスペルは旧約聖書の「カインとアベル」から(多分)

もう(多分)がめちゃくちゃ多くて申し訳ないのですが、まあ正確なところは公式さんしかわからないと思うのでご愛敬で(笑)。ここまでハイブリットなのもまほやくキャラの中では珍しいと思いますが、とにかく、今回はよりカインの深層を形作っている、旧約聖書の「カインとアベル」と、小説の「ケインとアベル」をじっくり読み解いていこうと思います。

旧約聖書

写真提供:The Old Testament | brett jordan | Flickr

ここからは旧約聖書の「カインとアベル」×まほやくカインの考察に入っていきます。旧約聖書は直接カインの元ネタになっているというより、旧約聖書をもとに「そして誰もいなくなった」と、小説の「ケインとアベル」が書かれているので、元ネタのさらに土台を担っているお話になります。

直接的にカインのモチーフにはなっていませんが、とはいえ土台を知っていた方が元ネタ小説も楽しめるので、簡単にさらっておきましょう。私もまとめながらお勉強します!

そもそも旧約聖書とは?

そもそも旧約聖書とは何?と聞かれてスムーズに答えられる人が、日本にいったい何人いるか…私も今回調べるまで全く答えられませんでした…。

旧約聖書とは、その名前のとおり聖書です。聖書とは大雑把に言うと、神様の物語が書かれており、神様の教えや、波乱万丈の物語が書かれているのです。宗教の本部となる教会や教団は、信徒たちに「これがうちの宗教の教義だから、この教えを模範として行動しなさいね~」とおふれをだしているんですね。いわゆる物語形式の校則みたいな感じ。

そして旧約聖書に関係が深い宗教が、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教になります。

ユダヤ人とは?

まず、ユダヤ人の定義とは?と気になりますよね。大昔はイスラエル民族=ユダヤ人でしたが、ユダヤ教が別の民族にも普及すると、ユダヤ教の信徒をまとめて「ユダヤ人」と呼ぶようになりました。なので、呼称するにあたって明確な線引きがない、というのが現代の状態ですね。

超大昔、紀元前539年に聖書の形が整い、ユダヤ人(イスラエル民族)からユダヤ教が発足。この聖書が旧約聖書です。

神様と人間の約束

旧約聖書の「約」は約束の「約」。神様の言いつけを守れば、「カナンの地」という豊かな土地をユダヤ人に授けますよ、という約束が記載されているんです。もし約束、いわゆるユダヤ教の戒律を破った場合、その人には厳罰が下され、最悪命を落とすことも。ユダヤ教は戒律がきびしーい宗教だったんですね。

この「約束を破ると罰が下る」というのは、まほやくにおける「約束を破ると魔力を失う」という根幹の世界設定に反映されているようにも感じますね。まほやくの元ネタ小説にユダヤ人が登場することが多いので、このあたりもいつかじっくり考察してみたいところ。

キリスト教の誕生

話がそれましたが、こうして超厳しいユダヤ教から異端児が誕生します。神様はくそ厳しいけど、実は優しいの。罪人も救ってくれるのよ。と、新しい教えを説き始めた人がいるのです。それが、かの有名なイエス・キリスト。

イエスは身分の低い人たちにも救いの手を差し伸べたので、人気がうなぎ上りになります。すると、イエスが救世主だ!神の子だ!と言い出す人たちが現れるんですね。それを聞いたユダヤ教の人たちは、何を言ってんだ?すでに神はいる!イエスが神様なわけあるか!と怒り出すのです。

そこでイエスの新しい教え、つまりイエスの生涯と約束を書いた書物・新約聖書が誕生します。旧約聖書+新約聖書を教えとし、ユダヤ教から派生したのがキリスト教なのです。対してユダヤ教は新約聖書を認めていませんから、旧約聖書のみを教えとしています。

ユダヤ教旧約聖書
キリスト教旧約聖書+新約聖書

このあたりの事情を知ってから、元ネタ小説を読むと、より理解が深まって楽しいと思いますよー。

旧約聖書 カインとアベル

写真提供:Cain and Abel | My sermon for today, reflecting on the need … | Flickr

あらすじ

では、旧約聖書に書かれている「カインとアベル」の話に移りましょう。あらすじはざっと言うとこんな感じ。

兄カインと弟アベルは神様に供え物を献上しました。しかし、アベルの供え物は認められましたが、カインの供え物だけ神様に認められなかったのです。

カインはそれに嫉妬し、アベルを殺してしまいます。(これは人類初の殺人と言われています。)

神様はアベルはどこにいるかカインに問いますが、カインは「アベルの番人ではないから知らない」と嘘をつきます。しかし神様はアベルの叫びが聞こえるのです。カインは殺人を白状しますが、その土地から追放されてしまいます。

が、罪を犯したカインは、もし人々に見つかれば私は殺されてしまうと神様に泣き言を言います。それを見かねた神様は、カインを殺したものは7倍の復讐を受けるだろうと言い、それがわかるよう、カインにしるしをつけます。

こうしてカインはエデンの東・ノドの地に住み、妻を持ち、子をもうけ暮らしたのです。

元ネタ小説との関係

この「カインとアベル」のお話を盛り込んで書かれたのが以下の小説です。

そして誰もいなくなったアガサ・クリスティー著
ケインとアベルジェフリー・アーチャー著

「そして誰もいなくなった」は推理小説で、カインのしるしをモチーフに犯人の手がかりを描いています。まほやくカインがオーエンの目玉を持っていることなどに関連しているので、お時間があればその考察も読んでみて下さい。

ケインとアベルにおいては、題名ほど旧約聖書に関連したエピソードはみられませんが、ふたりの主人公がお互いを憎む因縁の関係となっています。この因縁の関係をキャッチーなフレーズで表すのに「ケインとアベル」というタイトルがぴったりだったのでしょう。

ちなみに旧約聖書のカインのスペルは「Cain/カイン」で、発音は「ケイン」。こちらはまほやくカインのスペルと同じですね。ジェフリー・アーチャー著のケインのスペルは「Kain/ケイン」で、発音は同じく「ケイン」。旧約聖書を意識して名づけられているんですね。

作者 ジェフリー・アーチャー

ここからは、ようやっと小説のケインとアベルの考察に入っていきたいと思います。ここまで長かったー。まずは、作者についてちょっと触れます。

作者はジェフリー・アーチャー。1940年にロンドンに生まれ、イギリスで議員を務めている方です。そう、ジェフリーは現在もご存命の方なんですね。まほやくの元ネタ小説の作者は、殆どが故人なので、なかなか珍しいケースなのでは?(まあ、この小説が元ネタかどうかは個々の判断に任せますが…。)

ジェフリーは作家活動も行っており、ケインとアベルは1979年に執筆されました。職業軍人の親を持ち、会社の設立、投資家、議員としての活動経験をふんだんに活かして書き上げた一冊です。

半沢直樹のようなビジネスドラマかと思えば、急に戦争小説になり、かと思えば恋愛ロマンスが描かれる。多彩な面をもちながら、ふたりの因縁の男達の一生を描いた壮大な物語となっているのです。

ケインとアベル あらすじ

ヴワデクの誕生

1906年 4月18日 ポーランド・スウォーニムにて

森で猟師暮らしをしていた一家の子どもが、森で赤ん坊を拾いました。どこの誰かもしれない女性が、森で赤ん坊を生み、息絶えていた傍らにいたのを拾ってきたのです。

一家は赤ん坊を引き取り育てます。この赤ん坊はヴワデクと名づけられました。ヴワデクは猟に興味はなく、村の学校で学ぶのが楽しくて仕方ありません。そのうち、ヴワデクに並ぶ子どもはいなく、学校一の秀才となったのです。

その噂をきいたロスノフスキ男爵という方が、自分の息子レオンの良き競争相手として、ヴワデクを引き取りたいと申し出ました。それを一家とヴワデクも了承。ヴワデクは森から城へと移り住みます。

城での生活は幸せそのものでした。レオンは良き友となりましたし、男爵は自分を息子と同じように分け隔てなく接してくれ、猟師一家の娘のフロレンティナも一緒に城で暮らしている。(ヴワデクはフロレンティナが大好きでした。)

しかし、突如その幸せが壊されます。第一次世界大戦の勃発です。

三国同盟(ドイツ・オーストリア・イタリア)と三国協商(イギリス・フランス・ロシア)の対立により、1914年のサラエボ事件をきっかけに開戦。ポーランドは当時ロシアの植民地でしたが、ドイツ軍の侵攻によって占領されます。

ヴワデクのいた城も例にもれず、ドイツ軍に占領されました。友人のレオンが殺され、地下牢での永い監禁生活の中、父のように慕っていた男爵が衰弱死し、姉のように慕っていたフロレンティナは暴行を受けて死にました。

ヴワデクは地下牢で3年過ごした後、城を取り返したロシア軍により、遠いシベリアへと送られます。極寒の収容所での生活が始まったのです。

ウィリアムの誕生

時は遡り、ヴワデクが生まれた時と同じ1906年4月18日アメリカ・ボストンにて。

アメリカの名門ケイン家にひとり息子が誕生します。名をウィリアム・ローウェル・ケイン。銀行頭取を父に持つウィリアムはすくすくと育ち、早くから読み書き計算をマスターする秀才でした。特に数学は大好き。

ある日ケイン一家は父の仕事の付き添いで、ロンドンへと来ていました。父は仕事があるため先にボストンに帰ることに。しかし数日後、新聞の一面をタイタニック号沈没事件が飾ることになります。父が乗った船でした。

ウィリアムに残された遺言。それはウィリアムが実力で父の銀行の頭取になること。ウィリアムはその言葉を胸に、学問で飛びぬけて優秀な成績を修め、子どもでありながら投資活動で成功するなど、非凡な才覚を発揮します。父を亡くした悲しみはあるものの、とても幸せな学生生活を送るのでした。

自由の国アメリカと親友の死

写真提供:Alamo National Bank Building – Downtown San Antonio | Flickr

一方、狼の声が響くシベリア収容所で過ごすヴワデクは、命がけで収容所から脱出していました。列車に隠れて乗り込み、食料は市場で盗み、船に乗り、自由の国アメリカへと渡ったのです。

アメリカは移民であるヴワデクを受け入れてくれました。アメリカにはアメリカらしい名前が必要です。ヴワデクは名前を改めました。アベル・ロスノフスキと。

血のにじむような努力により、下働きから始め、ホテルのボーイとなり、ついには1ホテルの支配人に昇り詰めました。グループ全てのホテルをまとめる総支配人・デーヴィスとは親友といえる間柄です。順風満帆、そう思っていましたが、アベルに試練が訪れます。

世界恐慌です。1929年10月24日(暗黒の木曜日)にニューヨークの証券取引を皮切りに、かつてない景気後退が訪れたのです。

ホテルの景気もすこぶる悪くなり、総支配人のデーヴィスは破産します。ホテルは全て銀行に差し押さえられ、あとはホテルが売り飛ばされるのを待つばかりとなりました。アベルは時間さえあれば自分ならホテルを立て直せると自負しており、事実アベルが経営しているホテルは利益を出し続けています。時間さえあれば、当面の資金を銀行が融資してくれれば立て直せる。

しかし、デーヴィスはホテルの12階から飛び降り自殺をしました。グループの株を全てアベルに託して。アベルは親友を失った悲しみ、そして融資を断った銀行へ恨みを募らせます。託されたホテルを立て直すために、アベルは銀行に融資を求めて直談判しにいきます。

担当の銀行員は、ウィリアム・ケインという男でした。

因縁のはじまり

一方、幸せな学生生活を過ごしていたウィリアムは、母の死を乗り越え大人になり、銀行取締役の一員となっていました。ウィリアムのもとに訪れたアベルという男は、自分であればホテルを立て直せる、銀行が融資しなかったせいで親友が死んだことを訴え、融資を求めてきました。

ウィリアム個人としてはアベルのことが気に入ったので融資してやりたかったのですが、銀行の総意はそれを許しませんでした。結局、銀行はアベルに融資することはできなかったのです。アベルは幸運にも第三者から融資を受けることができ、ホテルを立て直しにかかりました。それ自体はウィリアムも喜んだものです。アベルに恨まれていることを知りつつも。

しばらくして、ウィリアムは実力で銀行頭取の座を手に入れます。決して父のコネではなく、彼自身の実力で。と、喜んだのも束の間、またもや試練が訪れます。

第二次世界大戦の勃発です。ドイツ・イタリア・日本の三国同盟に対し、イギリス・アメリカ・ソビエト連邦他、諸国からなる連合軍との戦いです。

日本軍が真珠湾に攻撃した1941年12月8日、ウィリアムは決意しました。きっと父ならば、アメリカの最大の利益になるため、そうしただろうと。ウィリアムは軍に入隊したのです。

ウィリアムはブラッドリー将軍の軍と合流し、ドイツの首都・ベルリン侵攻へと向かうのでした。

戦場で絡み合う運命

一方、アベルは第三者の融資によりホテルを再建することができました。事業を拡大し、ホテル王とまで呼ばれるようになったころ、戦争の火ぶたが切って落とされたことを知ります。

アベルは陸軍へと入隊しました。理由は、かつて友人や男爵、姉と慕っていた者たちを殺したドイツ軍に復讐するため。アベルはベルリン侵攻に向かっているブラッドリー将軍麾下に入り、戦場で救助活動を行っていました。

そこで、軍医が片目と口だけ残して包帯でぐるぐる巻きにした、誰だか判別のつかない兵士を見つけます。もう息を引き取るのも時間の問題と思われますが、アベルは懸命に野戦病院まで運びます。1時間かけて運び、もう死んでしまったかと思ったその時、包帯で巻かれた兵士は片目を開け、なんとか片手を持ち上げようとしたのです。

兵士が生きていたことに、アベルは心底うれしくなりました。この男が生き延びることを、どれだけ神に祈ったことだろうか。アベルは敬礼をし、医師に兵士を託してその場を去りました。

一方、戦場で負傷したウィリアムは、なんとか片目だけ開けて、自分を助けてくれた男の姿を捕えました。が、その後ろ姿に見覚えがあるものの、誰だった思い出せません。奇跡的に徐々に身体は回復していき、じきに視力も戻ると医師に保証され、神に感謝しました。右腕にも力がよみがえってきたのです。

因縁の終わり

その後、アベルはウィリアムを憎み陥れようとし、ウィリアムも自分の母を殺した男とアベルがつるんでいる事も相まって、アベルを憎むようになります。この因縁の関係はふたりが55歳になる、実に30年以上もの間続いたのです。

そして、ある出来事をもって、アベルはウィリアムに復讐を果たします。因縁の関係に終止符が打たれました。先にウィリアムが満足したようにこの世を去ります。そしてアベルも、ある事実を知り、ウィリアムへの恨みが昇華され、そしてこの世を去りました。

ふたりの男がこの世を去り、残されたもの。小説の最後の一文は、ぜひご自身の目で確かめて下さい。

まほやくにオマージュされた内容

出身地

まほやくオーエンは、おそらく夢の森にあった村の地下牢に、長年閉じ込められていました。正確に言えば、夢の森が森の形を成す前にあった村でしょうか。夢の森は北の国にあり、寒さの厳しい土地です。そこから抜け出し、オーエンは自由の身となったのです。

対して、アベルは森で生まれ、地下牢に投獄されていました。その後シベリアの極寒の収容所で過ごし、脱走して自由を手に入れています。こうしてみると、オーエンの置かれていた環境は、ケインとアベルからオマージュされていそうですね。

カインの出身地である栄光の街は、運河が流れ交易が盛んな観光地です。お祭りがよく行われており、陽気な人々が多い街。

対して、ウィリアムの出身地は、アメリカ・ボストン。ボストンは海とチャールズ川に囲まれた観光地です。ハーバード大学をはじめとし、有名大学が軒を連ねていることでも有名ですね。

ボストンの名物料理といえば、クラムチャウダーとロブスター!海沿いなので海産物が有名なのです。おいしそう。まほやくでもリケが「栄光の街にきたらこれ!」とクラムチャウダーのような食べ物を薦められていたり、ロブスターは中央の国の名物料理にもなっていますね。(ボストンのクラムチャウダーは白がメジャーですけど。)

どうやら旧ジョン・ハンコック・タワーという場所に、天気をイルミネーションで知らせてくれる信号がついているらしいのですが、如何せん資料が少なくて詳細情報がわからず。まほやくの栄光の街では、天気を知らせてくれる魔女が暮らしていますから、これもオマージュされた内容かも?情報求む。

栄光の街のようにボストンでもマラソンや音楽祭など、お祭りはちょいちょい開催していそう。栄光の街は回数が異常なので、そこは加味しませんw。ただ、街並みはレンガ造りのクラシックな建物が多いので、どちらかというとイタリア・ローマのほうが街並みは栄光の街に近いかも。下の右の写真がローマの街並みです。

写真提供:Rome | Rome | Sean MacEntee | Flickr

ちょっと話がそれますが、ギリシャ神話の英雄・ヘラクレスは、赤ん坊のころに二匹の蛇を退治した事や、地獄の番犬ケルベロスを生け捕りにした、などのエピソードがあります。栄光の街には、二匹の大蛇を勇者が退治したという話が受け継がれています。また、宿敵のオーエンはケルベロスという獰猛な獣をスーツケースにしまっています。

こういったエピソードにあやかって、まほやくではヘラクレスの神話をいくつかオマージュしているのかもしれませんね。かつてのローマ帝国はギリシャ神話ともゆかりの深い土地です。カインの出身地である栄光の街は、ボストンとローマを足して割ったような特徴をもっているのかもしれませんね。

マナエリア

オーエンのマナエリアは、どこかの市場です。どこかは教えてくれませんけども。わいわい賑わっている場所に、ふら~っと引き寄せられるみたいですね。

子どものアベルはアメリカに向かう前、ほとんどお金がなかったため市場で盗みをはたらいていました。盗みは同じみなしごの友人と行っており、ふたりで大人を出し抜くのが楽しかったのです。今まで過酷な人生を送っていたため、ろくに笑ったりなどしませんでしたが、珍しくアベルが屈託なく笑った思い出の場所です。

こういったエピソードがオーエンのマナエリアに反映されているのかもしれません。

カインの傷と紋章

カインはオーエンに片目を奪われ、両目が左右で違う色となっています。大いなる厄災の傷により、自分に触れるまで人の姿が見えません。しかし、オーエンの姿だけはしっかりと見ることができるのです。何故かはしらん。

ウィリアムは戦争で負傷し、片目を残して包帯でぐるぐる巻きにされていました。視力も両目ともかはわかりませんが悪くなったようです。長く眠る前に、唯一残った片目でみたものは、自分を助けてくれたアベルの姿。作中でも心動かされる印象的なシーンです。

このエピソードをオマージュして、カインの大いなる厄災の傷は形作られたのかもしれませんね。

ちなみに、戦争で負傷した後、しばらく満足に身体が動かせなかったウィリアムですが、「激しい頭痛と健忘症の時期は過去のものとなり、右腕に力がよみがえってきた。」という一文があります。

カインの紋章の位置は右腕。身体のパーツごとに回復状況を触れているのはこの一文くらいだったかと思うので、ちょっと印象的な書かれかたをしていますね。今のところ、紋章は各キャラクターの元ネタと縁の深い部位に現れることが多いので、カインの紋章も同じように現れたのかも。

ウィリアムがアベルに助けられるシーンは、1周年イベント「きみに花を、空に魔法を」のエピソードを思い起こさせますが、その考察はまた別の機会に。

ビジュアル

アベルは黒髪に青い瞳。ウィリアムは髪色は確か正確な描写はなく、瞳は青です。ビジュアルはあまりまほやくには受け継がれていませんね。ただ、イベントストーリーで少し気になる描写が。オーエンが、自分に青い瞳が似合うのではないか、と話しているんですね。におわせているような、そうでもないような(笑)

服装ですが、オーエンは看守のような恰好。かつて地下牢に閉じ込められていた側から、ケルベロスをスーツケースに閉じ込めていることにもあやかって、相手を支配する側にポジションを変えた恰好を意識しているようにも感じます。

また、オーエンは胸に狼のデザインのネクタイピンを差しています。ケインとアベルでも狼は要所要所に描かれており、収容所には狼の遠吠えが響いていました。このあたりのエピソードもビジュアルに反映されていそうです。

オーエンもカインも、ともにしっかりとネクタイを締めていますね。ケインとアベルにおける1940年代の銀行家・ホテルマンはぴっしりとスーツや制服を着て、ネクタイを締めるのが常識。カインは騎士なのに何故ネクタイなんてしているのか不思議でしたが、元ネタが銀行家ということもあって、それを意識されてビジュアルが作られたのかもしれません。

実力でトップにたった男

さいごに、カインの騎士団長という立場について。カインは魔法使いという特性を武器には使わず、人間としての実力で騎士団長の座を手に入れました。ウィリアムも父が元銀行頭取であり、銀行の株を多く保有しているという圧倒的なアドバンテージを利用せず、己の実力で銀行頭取の座を手に入れました。このあたりの根幹のキャラクター性はよく似通っていますね。

ちなみに、銀行頭取の座をかけて争った男がいます。名をトニー・シモンズ。ウィリアムより幾分か年かさで、慎重で保守的、ときに厭味ったらしい物言いをする男です。私は小説を読んでいて、どことなくトニーはまほやくのニコラスに似ているなあと感じました。

ウィリアムとトニーは仲が悪かったですが、実は後に和解します。お互いに、思っていたほどお互いが嫌な奴ではなかったのです。なんだ、話せばわかる奴じゃないか、と。

まほやくにおいて、カインとニコラスは仲違いしたまま離別します。カインはお互いが分かり合える未来もあったのではないかと言葉をこぼしています。小説のように和解することなく終わりを迎えたのが、なんとも寂しい余韻を残したエピソードでした。

さいごに

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。めちゃくちゃ長かったですね。もうすぐ一万字超えそうです(笑)。おつきあいいただき、ありがとうございました。

ケインとアベルは実際のアメリカ史に沿って、フィクションの存在であるケインとアベルの一生が描かれています。このリアルとフィクションが入り混じる感覚が、読んでいてとても面白かったです。また、翻訳も凝っていて、お洒落な言い回しがテンポよくとんでくるのです。ウィリアムがゴルフしてるシーンが好きなので、誰か読んでくれー。

ただ、時代背景が過酷なので、かなり残酷なシーンもしっかりと描かれています。メンタルにくる辛いシーンもあるので、もし読まれるかたは他のレビューなども参考にしてから手に取るのをおすすめします。

はい、一万字超えました!撤退します!

それでは、また!

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参考文献

ジェフリー・アーチャー、永井淳/訳 『ケインとアベル〔上〕』 | 新潮社

「旧約聖書」と「新約聖書」の違いって? | ことくらべ

新約聖書と旧約聖書、何が違うの? | 聖書入門.com

日本人のための「砂漠の宗教」入門:キリスト教とイスラム教の因縁の始まり | 日本人が知らない本当の世界経済の授業 | ダイヤモンド・オンライン

創世記 4 : 聖書日本語 – 旧約聖書

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