2023年1月20日より新規追加されたイベント、カウリスシリーズ。今回はカウリスイベントをより楽しめるよう、イベントのモチーフ…いわゆる元ネタを考察していきます!
カウリスという言葉に込められた意味とは?魔獣に秘められた謎とは?
ここからはネタバレが含まれますのでご注意を!
それではレッツゴー♪
カウリスの意味
ラテン語のカウリス
まずはイベントのタイトルに含まれる「カウリス」という言葉について。カウリスはラテン語で「Caulis」と表記されます。意味は大まかにこんな感じ。
- 茎
- 幹
- キャベツの芽
そのままキャベツを意味することもあるみたいですね。
カリフラワー(cauliflower)の「カリ」の語源は、ラテン語の「キャベツ(caulis)」です。この”caulis”が元になっているのは他にもあり、キャベツを使ったコールスローの「コール」の語源です。そして、その形が似ていることからシュークリーム(chou à la crème)の「シュー」の語源でもあります。
— ラテン語さん (@latina_sama) August 12, 2020
ラテン語の「Caulis」は、元は古代ギリシャ語の「καυλός」を語源とし、茎や軸といった意味があります。そう考えると「Caulis」からは、軸がしっかりどっしりとした植物の茎を想像することができますね。
実はラテン語は古代語であり、現代では死語に分類されます。元は古代ローマなどで使われており、そこから派生して、現イタリア語やフランス語が生まれたのです。他の言語にも影響を与えていますね。
英語のカウリス
そのラテン語の「Caulis」から派生して、英語の「Caulis」という言葉が誕生したと言われています。これの意味が面白いんですよ。意味は植物学と建築学にわけて、おおまかに2つあります。
- 植物学:植物の茎、特に自然状態での草本茎
- 建築学:コリント式柱頭の渦巻きと螺旋を支える各主要茎
なんのこっちゃだと思うのでひとつひとつ確認していきましょう。
植物学のカウリス
まずは植物学の「Caulis」から。植物の茎であることはラテン語と変わりありませんが、英語の場合はより「葉っぱの茎」という意味合いが強くなります。木の幹というより、草本(草)の茎、というイメージですね。
建築学のカウリス
建築学の「Caulis」はちょっとややこしいです。みなさん、古代ギリシャや古代ローマの建築物というと、白い石造りの神殿を思い浮かべませんか?そして神殿には、凝った装飾の柱があしらわれています。ローマのパンテオン神殿や、フランスのメゾン・カレなどがわかりやすいですね。


この柱にはいくつか様式があり、コリント式、ドーリア式、イオニア式の3つが主要です。このうちコリント式は、柱の上の方にくるんとした渦巻と、アカンサスという葉がデザインされているのが特徴です。ちなみにアカンサスはギリシャの国花です。
この渦巻を支えている茎っぽい部分、もしくは渦巻+茎を併せた全体を「Caulis」と呼んでいるのです。めちゃくちゃ専門的な知識ですよね。ですが、これもまほやくに関係してくるのです。

このコリント式の柱を使用した有名な建物はいくつもあります。先ほどご紹介した、ローマのパンテオン神殿や、フランスのメゾン・カレ、実は日本銀行本店にもコリント式の柱があしらわれています。その中で今回注目するのが、ポーランドにあるワルシャワ王宮とジグムント3世の塔です。
ポーランドにあるクラクフ地区はまるっと世界遺産に登録されており、その中の王宮広場にワルシャワ王宮とジグムント3世の塔があります。王宮の前に、でーんと建っているのがジグムント3世塔ですね。このジグムント3世塔の柱がコリント式なのです。

さて、これがどのようにまほやくに関係するかというと、今回のイベストの舞台となった塔のデザインが、ワルシャワ王宮とジグムント3世の塔によく似ているのです。柱は折れていますが、フォルムや位置関係がよく似ているきがしますね。え、似てるよね?


それに加えて、植物学の「Caulis」の意味から連想してか、植物の蔦も建物に絡みついています。これはスノウとホワイトがお取り寄せをしていた魔獣の種が発芽した様子もイメージできますね。
そしてそして、このイベストの舞台となった試練の塔内部には、コリント式っぽい柱があしらわれています。柱の上や下の方にコリント式の特徴であるくるんとした渦や、葉っぱの意匠が見られますね。

というわけで、イベストでは「Caulis」のふたつの意味からモチーフを得てデザインされたのかもしれません。まさか建築の話まで出てくるとは…。では、カウリスについてまとめておきましょう。
イベストのカウリスと、ラテン語&英語の「Caulis」との関係
■ 植物学
- Caulis:植物の茎
- カウリス:魔獣の種、塔に絡みついた植物
■ 建築学
- Caulis:古代ギリシャ・古代ローマ時代のコリント式柱の一部
- カウリス:上記をイメージした柱が塔内にある。塔は、ワルシャワ王宮とジグムント3世塔(塔はコリント式柱を使用)をモデルにしている。
魔獣と七つの大罪
続いて、イベストに登場した魔獣について考察してみましょう。イベストにはアーサー達と共に試練を乗り越えた「スペルビア」という魔獣が登場しました。神秘的でカッコいいですね。お揃いのデザインであるアーサーの衣装も素敵でした!

この「スペルビア」の由来は、私たちの世界の「七つの大罪」だと考えられます。まずは「七つの大罪」とはなんのこっちゃという事から。
七つの大罪とは
七つの大罪とは、キリスト教(主にカトリック)における心得みたいなもので、人間を罪に導いてしまう、欲望や感情を定義したものです。罪そのものというより、この感情は危ないから注意してね!という警告を込めた定義ですね。
起源は4世紀に活躍したキリスト教の教父・エヴァグリオス・ポンティコスといわれています。エヴァグリオスは色々と著作を遺しており、著作「修行論」にて大罪を記しています。このときは8つ罪があったのですが、色んな人の手によって改変されて、現在は7つとなりました。それがこちら。
日本語 | ラテン語 | 英語 |
傲慢 | superbia | pride |
強欲 | avaritia | greed |
嫉妬 | invidia | envy |
憤怒 | ira | wrath |
色欲 | luxuria | lust |
暴食 | gula | gluttony |
こうして見てみるとわかると思いますが、傲慢のラテン語が「superbia / スペルビア」なんですね。イベストに登場した魔獣と同じ読み方です。
この魔獣スペルビアとオーエンは大昔に出会ったことがあり、賢くて誇り高いと評しています。日本語では「傲慢」となっているので、だいぶマイナスイメージが強いですが、ラテン語のsuperbiaは「誇り」という意味です。こちらのほうがイベストの魔獣のイメージにあいますね。

七つの大罪とイメージ幻獣
また、各滞在にはイメージキャラクターのような形で、悪魔や幻獣、動物などが関連付けられています。それがこちら。
大罪 | 対応悪魔 | 幻獣 | 動物 |
傲慢 | ルシファー | グリフォン | 獅子、孔雀、梟、蝙蝠、ペンギン |
憤怒 | サタン | オーガ、ユニコーン、ドラゴン | 狼、猿、鼬 |
嫉妬 | リヴァイアサン | マーメイド | 蛇、犬、猫、土竜、蜻蛉 |
怠惰 | ベルフェゴール | フェニックス | 熊、牛、驢馬、ナマケモノ、蝸牛 |
強欲 | マモン | ゴブリン | 狐、狸、針鼠、烏、蜘蛛 |
暴食 | ベルゼブブ | ケルベロス | 豚、虎、リス、鰐、蝿 |
色欲 | アスモデウス | サキュバス、インキュバス | 山羊、蠍]、兎、鶏 |
傲慢の幻獣はグリフォンという、上半身は鷹、下半身はライオンという伝説上の生き物です。ちょうどイベストに登場した魔獣と同じような外見です。

イベストの魔獣は青や緑、黄色などのコントラストが美しく、孔雀のような色合いだったのも印象的ですね。傲慢のイメージ動物に孔雀がいますので、このあたりもイメージして魔獣が生まれたのかもしれません。

ちなみに、このイメージ幻獣と動物の起源はいまいちはっきりとわかっていません。イメージ悪魔については、1589年にドイツの神学者であるペーター・ビンスフェルトが、「こんな感じじゃない?」と提言したものが流行し、以降、様々な人が著書に引用するようになりました。イメージ幻獣と動物の起源はわかりませんが、案外、色んな誰かがノリで決めたのかもしれませんね。
今回、初となるカウリスイベントでは傲慢をテーマとした魔獣が登場しました。大罪はあと6つありますので、他にも魔獣が登場するかもしれませんね。イメージ幻獣の中には、オーエンが連れているケルベロスもいますので、もしかしたらオーエンがメインでイベストに登場するかも?今後の展開も楽しみにしましょう!
さいごに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!お楽しみいただけましたか?
新しいイベント形式が登場し、楽しんでいる賢者もいれば、戸惑っている賢者もいるかなーという印象をうける今日この頃。個人的にはストーリーではなく、ゲーム性がメインとなるイベントはアリだと感じています。
これからもっと改良を重ねていって、より楽しいイベントになるといいですね!期待しようと思います!
それでは、また!
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参考文献
The Glossary of the Corinthian Order – YouTube