エチュードシリーズがフルボイスになりましたね!みなさん楽しんでいますか?私は大変大変楽しんでおります。ありがとう、まほやくくん。
今回はロマン考察!平たく言うと、あんまり根拠はないけど、こんな感じだったら楽しいな~という想像、もといロマン考察です。「雨宿りのカエルのエチュード」は、実はラスティカとクロエに関係してくるのでは?あの「日々の泡」に関係しているのでは?などなど。
ここからはネタバレが含まれますのでご注意を!それではレッツゴー!
雨宿りのカエルのエチュードあらすじ
まずは、まほやくイベスト「雨宿りのカエルのエチュード」のあらすじを軽くおさらい。南の国の魔法使い達は、雨のやまない村に調査に行くことに。ついでにミスラ、ブラッドリー、スノウホワイトも同行。
賢者たちが辿り着いたのは、昔、コリンという西の魔法使いが、友人のカエル、クローロスのために造った庭園だった。誰も雨を止める人がいない、主人を失った庭園の最後を見届けるために、賢者たちは庭園で弔いとして遊ぶことにしたのだった。
コリンとクローロス
今回注目するのは、庭園の主であるコリン、そして友人のカエル、クローロスです。とっても仲の良かったふたりですが、ある日、クローロスが鳥に攫われてしまいました。(ウ・ワワ・ウ・ワーーー!!!)
攫われたっきり、クローロスと離れ離れになってしまったコリン。コリンはクローロスが帰ってきた時のために、雨が降る庭園を魔法で造ったのです。しかし、コリンはクローロスと再会することなく、そのまま石になってしまったと思われます。
このコリンとクローロス、もしかしたら「日々の泡」に登場するコランとクロエをちょっとモデルにしているのでは?というのが今回のロマン考察です。なんでやねん!と思う前に、まあ想像にお付き合いください。
「日々の泡」のコランとクロエ
まず、「日々の泡」とは何ぞや?というところから。日々の泡は1947年に、フランスの作家、ボリス・ヴィアンによって書かれた恋愛小説です。主人公のコランという青年と、クロエという女性の青春劇です。
このコランとクロエは、まほやくのラスティカとクロエのモデルになったと思われます。詳しくは別の考察でじっくり語っていますので、お時間があればそちらもチェックしてみて下さい。
はじめにスマホゲーム「魔法使いの約束」に登場する賢者の魔法使い達は、有名文学作品をモチーフにしてキャラクターが形作られています。今回は西の魔法使い、ラスティカとクロエを考察していきます。このふたりの考察は今回で3回目。前回まではふたりのモ[…]
さて、ここから日々の泡の盛大なネタバレになるので注意です。日々の泡のクロエは、肺に蓮が咲く、奇妙な病気により、亡くなってしまいます。クロエを心底愛していたコランはひどくショックを受け、毎日岸辺で過ごし、橋坂の上から睡蓮をやっつけようとしていました。食事もせず、ただ写真を眺める日々。
それ以降、彼がどうなったのか作中では描かれていません。読後には何とも言えない、ほんともう、言葉では言い表せない「うわあ」という気持ちが溢れますので、ぜひ読んでみて下さい。
このコラン(Colin)ですが、原本のフランス語ではそのまま「コラン」と聞こえますが、ラテン語ではコリンと聞こえるのです。まほやくでは、ちょいちょいラテン語が使われていますので、コリンという響きも自然かも?
そして、日々の泡ではクロエな亡くなってしまう、つまりコランはクロエを失った事になります。失ったクロエ…Lost Chloe…クローロス…?という連想ゲームができるかも?できないかも?いいや、できることにしよう!
つまり、日々の泡のコランとクロエが、まほやくのコリンとクローロスのモデルにちょっとなっているんじゃないかなあ、という事ですね。
日々の泡では、コランが睡蓮をやっつけようとしていたあたり、池のようなところにいたのでしょう。まほやくでクローロスの為に作られた庭園も、大きな池がありますね。なんとなくカエルが蓮に乗ってるイメージを思い浮かべやすいのは私だけでしょうか?
クローロスの庭園には蓮はなさそうですが、日々の泡にあった橋はありますね。まあ、正確に言うと、日々の泡では「橋坂」と表現されているので、クローロスの庭園にあったような橋かは微妙ですが…。
また、日々の泡のコランとクロエは、あるダンスパーティーで出会いました。そこでコランはクロエにひとめぼれし、ぞっこんになったのです。いやあ、ほんとデレデレでしたよ、はい。
賢者たちは、コリンとクローロスが月夜に踊っていたことにちなみ、弔いとして自分たちも踊ることにしました。これもなんとなく日々の泡を思い浮かべてしまいます。
クローロスが紫である理由
もうひとつ、ロマン考察の根拠になりそうなのが、クローロスの色です。クローロスは紫色の、ほっそりとした手足、神秘的な肌、濡れたような瞳をもっていたそう。言葉だけ聞くとどこかの美しい令嬢かと思いますが、カエルですからねカエル。
日々の泡のクロエは紫とは縁はなかったのですが、まほやくのクロエは紫と縁があります。まほやくクロエの瞳の色はすみれ色。これはクロエのもう一つのモデル、「幸福の王子」が由来となっています。
童話「幸福の王子」には、宝石のサファイアの瞳を持つ王子像が登場します。そのサファイアをすみれの上に置き、困っている人にあげるシーンがあるのです。光に透き通ったサファイアは、すみれ色に見えたかもしれませんね。これがクロエの瞳の由来になったと思われます。以前、別の考察でじっくり語っていますので、こちらもお時間があれば覗いてみて下さい。
スマホゲーム「魔法使いの約束」に登場するキャラクターは、有名文学作品をモチーフにして形作られています。今回は西の魔法使い、ラスティカとクロエを考察していきます。ふたりの主なモチーフとなっているのは「幸福な王子」と「日々の泡」という[…]
となると、まほやくクロエ→クローロスみたいな感じで、すみれ色もとい紫が関連したのかもしれなくもないのかもしれない!え?単純に紫陽花の色を、クローロスのモデルにしただけだろうって?私もそれは結構思う!笑
コランとレノックスと羊飼い
最後に、これはコリンとクローロス達に直接関係あるわけではないのですが、気になったことをあげておきます。
日々の泡のコランの名前の由来について、作中ではこうあります。
背はかなり高く、足の長い、ほっそりした、ようすのいい男だ。コラン(訳注 コランとはオペラコミックなどで登場する色男の羊飼いの青年役の名である。)という名におよそぴったりだった。
ボリス・ヴィアン日々の泡(新潮文庫)(p.7-8).新潮社
色男の羊飼いの青年から名付けられたんですね。だ、そうですよレノックス。
そして、イベストのラストあたりに、レノックスがこう話しています。「フィガロ先生や、賢者様。ルチルやミチルたちと、今ここにいられて、俺はとても幸せです。」と。
まほやくでは幸福について度々語られています。もはや、まほやくのひとつのテーマといってもいいでしょう。実は幸福、不幸については、日々の泡でも大きなテーマとなっています。作中の序盤ではこんな描写があります。
クロエは赤い唇、栗色の髪、幸福そうな感じで、ドレスにはちっとも関係ないのだった。
ボリス・ヴィアン日々の泡(新潮文庫)(p.48)新潮社
「おやおや。きみはとてもご不幸なことなんだね」とシックは言った。「いや、これ以上幸福になったことはないよ」とコランは言った。「ぼくは彼女との婚約をきみたちにご披露しようというんだから……」
ボリス・ヴィアン日々の泡(新潮文庫)(p.65)新潮社
他にも、コランとクロエが幸せである描写が多数あり、「幸福」というワードも沢山出てきます。しかし、物語のラスト、コランがクロエを失った後に、岸辺で過ごす姿を見たネズミと、ネズミの話を聞くネコとの会話がこちらです。
「きみを心配させてることは何かね。彼が不幸だからかな」と猫はきいた。「彼は不幸じゃない」とハツカネズミは言った。「彼には苦しみがある、そのことがわたしには耐えきれないのよ。いずれは水中に落っこちてしまうわ、身を乗りだしすぎてるんだもの」「なるほど」と猫は言った。
ボリス・ヴィアン 日々の泡(新潮文庫)(p.261) 新潮社
ここでいう「不幸じゃない」というのは、不幸なんてもんじゃない、もっと酷い状態なんだ、という意味合いです。ラストのラストにこの話を持ってくるあたり、非常に重要なテーマであることがわかります。
しかし、まほやくのイベストではレノックスは「フィガロ先生や、賢者様。ルチルやミチルたちと、今ここにいられて、俺はとても幸せです。」と話していました。もしも日々の泡をイベストでもモデルにしているのであれば、コランの不幸とレノックスの幸福が対比して描かれているのかもしれないなと感じました。
まほやくでは、原作の悲劇を幸福に変えて描かれている事も多いです。これからも、レノックス達が幸せに暮らせるといいな、と思ったお話でした。
さいごに
ここまでお読みいただきありがとうございました!いやー、わりといつもは、しっかりと根拠をつけた考察を意識しているのですが、今回はわたしの願望が先走ったロマン考察になりました。お楽しみいただけましたか?
この「雨宿りのエチュード」は、ストーリーは勿論大好きですが、音楽も大好き。こうしてフルボイスで堪能出来て大大大満足です!特にフィガロとレノックスが仲直りするシーンは、こう、現代を生きる自分にも刺さって泣けました。うう…。
次はフルボイスいつくるかなあ?楽しみに待ちたいと思います!
それでは!
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