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リケの名前の由来は愛の石?「巻き毛のリケ」を履修しよう!【元ネタ考察前半】

まほやくに登場する賢者の魔法使いたちは、文学作品をモチーフにしています。今回はリケのモチーフ、もとい元ネタであろう「巻き毛のリケ」を考察していきます。

フランスの詩人、シャルル・ペローによって書かれたこの童話は、古くから人々に愛されてきました。知恵とは何だろう?美しさとは何だろう?愛がもたらす力とは?といったテーマを元に語られる物語です。

「巻き毛のリケ」が、リケにどのように影響しているのか、じっくりと考察していきます。ここからはネタバレが含まれるのでご注意を!

それではレッツゴー♪

「巻き毛のリケ」あらすじ

Hoofdletter U Riquet à la Houppe. II. (titel op object), RP-P-1950-774

王子の誕生

まずは「巻き毛のリケ」のあらすじを見ていきましょう!

むかしむかしあるところに、王妃さまの元に男の子が生まれました。男の子はとても醜くかったため、周りの人が「この子は人間らしくなるだろうか…」と心配するほど。

しかし、妖精がこう告げます。「この子はとても頭のいい子になり、きっと可愛がられます。私の贈り物により、この子の愛する相手にも、同じものを与えることができるでしょう。」

つまり、男の子は妖精の贈り物により賢くなり、また、男の子が愛した相手も同じように賢くすることができるのです。

その予言通り、男の子は数え切れないほど素敵な言葉を話すようになりました。また、何をするにも気の利いた所作をするものですから、みんなうっとりしてしまうのです。

この男の子は、生まれたときから額の上に小さな巻き毛があったので、<巻き毛のリケ>と呼ばれました。リケというのは苗字です。

王女の誕生

それから7・8年経ったころ、隣の国にふたごの女の子が生まれました。先に生まれた子は、お日さまよりも美しく、王妃さまも大変喜びました。

しかし、妖精がこう言います。「この子はとてもお美しいのと同じくらい、とても愚かな子になるでしょう。」

これを聞いた王妃さまは酷く悲しみましたが、更に大きな悲しみに襲われます。次に生まれた子が、世にも醜くかったのです。

しかし、妖精がこう告げます。「この子はとても賢いお方になり、美人でないことなど、誰もちっとも気づかくなるでしょう。」

それに王妃さまは言います。「そうなってくれるとよいけれど。でもねえ、上の子のほうはあんなに美人なのに。ほんの少しでも、頭がよくなるような方法はないのかしら?」

「王妃さま」と妖精は言いました。

「先に生まれた子の賢さについては、私には何もできません。でも、美しさのことなら何もできないことはないのですよ。こういたしましょう。先に生まれた子には、その子が愛する相手を美しくする力をさしあげます。」

ふたりの出会い

ふたりの王女が大きくなるにつれて、ふたりの長所も短所も、それぞれ大きくなりました。

妹は見るからに醜くなりましたが、賢さはどこでも大評判になりました。姉はとても美しいものの、いよいよ愚かになり、何をきかれても答えることができず、馬鹿げたことを口にするのです。

そのうえ、とても不器用で、暖炉のへりに磁器を並べると必ず割ってしまうし、コップで水を飲むときは、必ず半分は服の上にこぼしてしまいます。

王妃さまは控えめな方でしたが、姉の愚かさを叱りつけずにはいられず、その度に可哀想な姉は死ぬほど辛い思いをしました。

Contes De Fees (1908) (14729775246)

ある日のこと、姉姫が森の中でわが身の不幸せを嘆いていると、向こうから醜い小柄な男がやってきました。彼は隣の国の若い王子、巻き毛のリケでした。リケは言います。

「王女さま、私にはわかりませんね。あなたほどお美しい方が、どうしてそんなに悲しいご様子をなさるのか。私はこれまで、数えきれないほど美女を見てまいりました。けれども、その私が申し上げるのですよ。これまで出会った美女たちの、どの美しさも、あなたの美しさの足もとにも及びません。」

それに姫が答えます。「わたくしは自分のように美しくて、そのくせ愚かであるよりも、あなたのように醜くて賢さのあるほうが、ずっとよかったと思うのです。」

「それだけのことで、悲しんでおられるのでしたら、簡単に姫の悩みを終わらせてあげられます」

「いったい、どうやって?」

「私には、およそ持てるかぎりの賢さを、持たせてさしあげる力があるのですよ。自分が一番、愛する人に。ちょうど、あなたのような。つまり、私と結婚したいと思って下さりさえすれば良いのです。」

姫は知恵のある人になりたくてたまらずにいましたから、王子の申し出をその場で受けました。姫はリケに、「1年後の同じ日にあなたと結婚します」と約束したのです。その途端、自分がそれまでの自分と全く別人になったように感じました。

自分の言いたいことを、信じられないくらいすらすらと、それも上品に、素直に、自然に言えるようになったのです。周りの人々も、王さまも、姉姫を愛するようになったのです。

約束を思い出す王女

姫の変わりようが広まったものですから、近隣国の王子たちが、こぞって姫に結婚を申し込みました。姫のみるところには、十分に賢い人はいませんでした。しかし、ひとりだけ見目麗しく、とても賢く、お金持ちの王子がいました。

姫は彼に好意を抱いたため、結婚するか否か悩みます。どうしたら良いか考えるため、森を訪れると、急に地面が割れて、足の下に広々とした台所が現れました。料理人達がせわしなく働く姿に、姫が問いかけます。

Hoofdletter I Riquet à la Houppe. I. (titel op object), RP-P-1950-773

「みなさん、誰のために働いているの?」

「巻き毛のリケ王子さまの為でございます。王子さまの結婚式が、明日執り行われますので。」

姫は心底びっくりしました。というのも、今の今まで、リケと結婚するという約束を忘れていたのです。

どうしてこれまで思い出さずにいたかというと、あの約束をしたときは、姫はまだ愚かな人間でしたが、王子に新しい知恵をいただいたおかげで、それまでの自分の愚かなことを、全て忘れてしまったからなのです。

愛し合うふたり

そこにリケが姿を現しました。リケは言います。

「どうです、王女さま。私はぴったり、約束を守りましたよ。王女さまも必ずや、お約束どおり、私と結婚して下さって、私を世界一の幸せものにして下さる。そのためにおいでになったのだと思います。」

「はっきり申し上げて」と姫は答えます。

「わたくし、そのことはまだ決心がついておりませんの。それに、お望みどおりの決心ができるとは、思えないのです。」

姫いわく、自分が賢くなってしまったため人を見る目ができてしまった。だから、結婚するか悩んでしまっている。あなたも賢い人ですから、きっと私の気持ちをわかってくれるでしょう?と自分の言い分を伝えます。

それにリケはこう言います。私はあなたの約束やぶりを非難してはいけないのか?私の醜さを別にして、私の血筋や性質など、気に入らない事がありますか?と。姫は無いと答えます。

「それなら」とリケは続けて、「私はきっと幸せになれます。あなたが生まれたとき、妖精が、あなたが愛する相手を美しくできる力を授けてくれたのですよ。」

「もしそれが本当なら、あなたが世界でいちばん美しい、一番素敵な王子さまになられるように、心から願います。これがわたくしの、あなたにさしあげられるかぎりの贈り物です。」

Riquet, à la houppe (BM 1928,0713.188 1)

王女がこの言葉を言い終えるか否かに、リケは王女の目にはこの世で一番の美青年、姿かたちも気だても、姫の知るかぎり一番素敵な王子さまに見えたのでした。

これは妖精の魔法のせいではないと言う人もいます。愛の力が、こんな変化を起こさせたのだ、と。王女は、恋人の忍耐づよさ、つつましさなど、その魂や心の長所のすべてをよくよく理解したおかげで、その身体のぶかっこうなことや顔立ちのみにくさなどは全然目に入らなくなったということです。

姫はその場で結婚の約束をし、あくる日結婚式が行われました。それはもう何もかも、ずっと前からリケが命じていたとおりだったのです。

補足

あらすじを読んでいただき、いかがでしたか?正直突っ込みどころは多いですね。人の美醜に容赦なく踏み込んだり、おいおい、リケとお姫様、顔が良ければ結婚するんかーい!など。

このお話が描かれたのは1600年代。現代と当時では価値観が異なるので、そのあたりはご考慮下さいね。

それでは、「巻き毛のリケ」とまほやくの関係を考察していきましょう!

名前の由来

まほやくリケのフルネームは「リケ・オルティス」です。”リケ”は童話から由来しているのでしょう。名前のスペルも”Riquet”と一致しています。

オルティスですが、はっきりと由来はわかりませんが、調べる限り2つ候補がありそうです。

スペイン語のオルティス

ひとつめはスペイン語の「Ortíz/オルティス」。人名の苗字でたまに見かけます。Ortízの語源は正確には判明していませんが、”勇敢、強い” を意味するラテン語のfortis、または “幸運” を意味するラテン語のfortuniusのどちらかが由来といわれています。

中央の魔法使いは勇敢な性質があるので、リケに似合ってるような気がするようなしないような。15世紀に行われたスペイン異端審問に関連しているとも言われていますが、さすがにこれは名前の由来にしないと思うので割愛。気になる人はGoogle先生に聞いてみてね。

ロードクロサイトのオルティス

本命の考察はこちら。ふたつめの候補は、ロードクロサイトという宝石の分類名”オルティス”に由来している説です。

Minerales en el Museo Geominero, Madrid, España, 2016 05

ロードクロサイトは、ピンクの鉱石で、時に白い縞模様が混じっている物もある宝石です。中でも、かつてのインカ帝国(現アルゼンチン)で産出されたロードクロサイトは、薔薇のような縞模様が現れたため、インカローズと呼ばれています。が、現代ではわりと区分はごちゃごちゃで、ロードクロサイト=インカローズとされていますね。

インカローズは恋愛の石として有名で、持ち主の魅力を引き出し、電撃的な出会いをもたらしてくれる力があるとされています。童話のリケと姫にぴったりな気もしますね。ただ、名前の由来は宝石言葉がメインではなさそうです。

このロードクロサイト(インカローズ)の中でも、縞模様がなくクリアな最高品質のものを”Ortiz Quality/オルティスクオリティ”と呼びます。

実は、ルチルのフルネーム、ルチル・フローレスも宝石に関連していると思われます。ルチルとは、宝石の一種であり、ダイヤモンドの代替品として扱われていた歴史があります。また、ダイヤモンドの中でも最高品質のものを”フローレス・ダイヤモンド”と呼びます。

つまり“ルチル・フローレス”とは、ダイヤモンドにも負けない輝きを持ったルチル、という意味にも取れる、というのが過去の考察です。お時間あるときに、ルチルの考察も読んでみてね。

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ルチルと同じように、ファミリーネームが宝石の品質に由来しているのであれば、”リケ・オルティス”=”曇りないクリアなリケ”という意味を持つのかもしれません。

リケはずっと外界と遮断された教団で生活していたので、良くも悪くもまっさらな心を持っています。なんとなく意味がリンクしている気がしますね。

リケとファウスト

でも、なぜロードクロサイトの品質が由来なの?他の宝石じゃダメなの?となりますよね。ここで気になるのが、ファウストの誕生石です。

ファウストの誕生日、1/13の誕生石はロードナイト原石です。和名は薔薇輝石です。ロードクロサイトとロードナイト・・・や、ややっこしい!

ファウストの誕生石・ロードナイトも、ロードクロサイト(インカローズ)と同じくピンク色の鉱石ですが、全く別の鉱石です。名前も見た目も似ているので、混同されがちな宝石です。

違いとしては、ロードナイト(薔薇輝石)は黒の縞模様、ロードクロサイト(インカローズ)は白の縞模様が現れます。ファウストが黒、リケが白担当ですね。なんとなくイメージにピッタリ。(画像は違いが分かりやすいように、敢えて似ていないものを選びました。似てるものは素人に見分けがつきません。)

←左がファウストの誕生石・ロードナイト原石(薔薇輝石)

右がリケの苗字の由来かもしれないロードクロサイト(インカローズ)→

Benjamín Núñez González, CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, via Wikimedia Commons

shakko, CC BY-SA 3.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0, via Wikimedia Commons

リケは教団から、聖ファウストは人間に尽くした魔法使いであり、彼を見習うように教えられてきました。リケもそれを強く意識しており、作中で何度もファウストの名を出し、彼のように活躍しようと意気込んでいます。

リケ:神の使徒の手本である聖なる魔法使いファウスト様は、アレク初代国王に尽くした方です。その末裔のアーサー様と、神の使徒である僕が出会った・・・。運命的だと思いませんか?

ネロ:つまり・・・王子さんがアレク初代国王で、リケが聖なる方のファウストってこと?

リケ:そうです。まるで中央の国の建国時代の伝説が、今の世に蘇ったようでしょう?

ネロ:ははあ。なるほど。

リケ:僕はアーサー様に尽くして、アーサー様が理想の世界を作るのです。きっと、これが僕の使命・・・・

イベントストーリー「神聖なる宝剣のエチュード」1話

ファウストの誕生石・ロードナイト(薔薇輝石)によく似ている宝石ということで、ロードクロサイト(インカローズ)にスポットを当てて、ファミリーネームが決められたのかもしれません。

いずれ、かつてのアレクとファウストのように、アーサーを支えるリケの姿が描かれるかもしれませんね。

モチーフとなった設定とエピソード

お次は童話からモチーフを得ていそうな設定やエピソードを見てみましょう。

まほやくリケの紋章は額の中央に現れました。童話のリケ王子は、額の上に小さな巻き毛があるため<巻き毛のリケ>と呼ばれています。リケ王子の特徴が、まほやくリケに反映されていそうですね。

ただ、まほやくリケは巻き毛ではなく、さらさらストレートヘアーです。”癖のない髪”とも表現されていますね。もしかしたら初期設定では、ふわふわ巻き毛ヘアーの案もあったのかも?

もう一つ気になるのは、リケの部屋です。童話にはリケ王子が登場し、まほやくリケのモチーフとなったわけですが、急に賢さを得て惑う姿など、お姫様もリケのモチーフになっていそうですね。

お姫様が愚かだった頃は、暖炉に置いた食器を落とすわ、飲み水をこぼすわ、なかなか苦労している様子でした。

まほやくリケの部屋には真っ白な絨毯が敷いてあり、賢者が汚れないか心配しています。

賢者:白い絨毯…。汚すの怖くないですか…?

リケ:しっかり、汚れを落としてから入室しますし、気を引き締めていれば、不注意でものを落としたりしませんよ。

親愛ストーリー「迷う心を温めて」より

リケが自分を律して生活している様子が伺えますね。わたしなら3日で汚す。もしかしたら、童話のお姫様と対比したエピソードなのかもしれませんね。

さいごに

長くなったので、一旦ここで区切ります!今回はリケのパーソナルに着目してみました。後編では、リケの性格や思考など、内面に着目して考察していきます。お楽しみに!

それでは後編でお会いしましょう!

See You!

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参考文献

ペロー童話集 – 岩波書店

ロードクロサイト | パワーストーンウィキ

RHODOCHROSITE | cousino

ロードナイトはバラ色の宝石|インカローズとの違いや価値基準など | カラッツ Gem Magazine

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