Dailyrankingは↓にスクロールしてね

まほやく誕生日×ギリシャ神話!星座の物語を読み解こう!【2022年誕生日カード】

今年(2022年)の誕生日カードは、各キャラが夜空をイメージした神秘的な衣装を身にまとって登場しましたね。キャラクターのカードエピソードのタイトルは「星影と言の葉と祝福の儀」。星影とは星の輝きのこと。どうやら星をテーマにしているようですね。

21人の魔法使いと星。この「21」と「星」からは、あるキーワードが連想されます。それが、一等星。今回は今年の誕生日カードが、もしかしたら一等星をモデルにしているのでは?と仮定して色々と考察してみます。ちょーっと根拠に乏しい当てはめ感もありますので、ふんわりと楽しんでいただければ幸いです。

ここからはちょっとネタバレが含まれるかもしれませんのでご注意を!

それでは、レッツゴー!

一等星とは?

まずは一等星とは何ぞや?というお話から。星の明るさは「等(とう」)という単位で表されます。目に見える一番暗い星は6等となり、数字が小さいほど明るくなります。そして1番明るいグループを一等星と呼びます。

この一等星は空全体で21個あるのです。おや、21という数字は、賢者の魔法使いと同じ数ですね。そして、一等星はそれぞれ星座を形作る星のひとつです。

たとえば一等星のひとつであるリゲルという星は、オリオン座を形作る星のひとつです。他にもアルタイルという星はわし座を、デネブという星ははくちょう座を形作っています。

この鷲や白鳥といった星座のモチーフが、今年の誕生日カードに描かれているのです。それでは表で確認してみましょう。

一等星星座魔法使い
シリウスおおいぬ
カノープスりゅうこつ
リギル・ケンタウルスケンタウルス
アークトゥルスうしかい
ベガこと
カペラぎょしゃ
リゲルオリオン
プロキオンこいぬ
ベテルギウスオリオン
アケルナルエリダヌス
ハダルケンタウルス
アルタイルわし
アクルックスみなみじゅうじ
アルデバランおうし
スピカおとめ
アンタレスさそり
ポルックスふたご
フォーマルハウトみなみのうお
デネブはくちょう
ミモザみなみじゅうじ
レグルスしし

不明:ミチル・フィガロ・ムル・ヒースクリフ・シノ・スノウ・ホワイト

現在(2022年7月)までに登場した誕生日カードを、関連しているであろう一等星とあわせて表にしてみました。が、モチーフが不明なカードも多いですね。あまりにも不明なカードが多いので、誕生日カードと一等星は関係ないのでは…とも思いますが、まあひとまず仮定してひとりずつ考察してみましょう!

ギリシャ神話とは?

詳しく考察をしていく前に、星座と密接な関係にあるギリシャ神話について、簡単に触れておきますね。ギリシャ神話とは、紀元前15世紀頃、つまり今から3500年ほど前に、古代ギリシャ地方で発祥した物語群です。民間で伝わっていた物語などが蓄積していって、壮大なストーリーとなったのです。

まず原初にカオス(混沌)が誕生し、次にガイア(大地)が誕生します。雪を頂くオリュンポス山には神々が住んでいます。そして冥界が生まれて、愛が生まれて…という感じでどんどん世界が出来上がり、新しい神様も生まれていきます。

この神様たちが、やれどこの神様に惚れたとか、どこの神様と喧嘩したなど、実に人間味のあるストーリーが展開されていくのがギリシャ神話です。

不明 – Jastrow (2006), パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1308225による

あまたの神々の中でもトップに君臨するのが、全知全能の神ゼウスです。ゼウスはギリシャ神話の中で最高神、つまり神々の中で一番偉い存在であるため、他の神々もゼウスの言うことは素直にきくことが多いです。

得意技は万物を燃やし尽くす雷。めちゃくちゃ強い神様ですが、色を好む事もあって、わりと浮気症。その性格が災いして色々と事件が起こります。まずは、このゼウスを覚えてもらって、あとは色んな神様がいるんだなあ、くらいの心持ちで読んでいただけると理解しやすいと思います。

また、この先お話する星座にまつわる神話は、ほぼギリシャ神話となっています。星座の起源ははっきりとわかっていませんが、現代で私たちが広く知っている星座は、5000年ほど前にメソポタミア地方(現イラク付近)で発祥したといわれています。牛飼い達が夜空を見上げながら、星と星を結んで形をつくったり、お話を考えたりしたんですね。

それがギリシャに伝わり、ギリシャ神話や伝説と結びついていきました。このあたりから、私たちが知っているような神話がどんどん生まれていったんですね。そのため、星座の神話にはギリシャ神話が多く伝わっているのです。

ちなみに、このサイトで度々取り上げている聖書とギリシャ神話は別物です。ギリシャ神話は紀元前15世紀頃に古代ギリシャで語り継がれていた神話。

聖書ははっきりと執筆時期はわかりませんが、紀元前17世紀頃〜キリストが誕生してからしばらくするまでを描いた、神々と人間の約束の物語です。ユダヤ民族(古代イスラエル)で語り継がれてきた物語なのです。

地方や民族によって、語り継がれてきた物語が全く異なるんですね。日本にも「古事記」など、日本特有の神話がありますよね。そんな感じです。というわけで、ギリシャ神話と聖書は全く別物だよ、という事を頭において読んでみて下さいね。

魔法使いと一等星

ミスラとカノープスとりゅうこつ座

まずはミスラから考察していきましょう。ミスラのカードのモチーフとなっていそうなのがりゅうこつ座。竜の骨?と思いますが、実は船の骨組みの形をした星座です。誕生日カードを見てみると、ミスラは小舟に横たわり、それを囲むように骨がにょきっと見えています。

この骨の形は、ファンタジーなどでドラゴンの骨が描かれたときのデザインによく似ていますね。あばら骨の部分だと思うので、構図的には骨ほねドラゴンがミスラを見下ろしている感じでしょうか。

後ほど触れますが、ミスラとドラゴンはとても縁があります。りゅうこつ座の「船の骨組み」と、文字通り「竜骨」にかけて、誕生日カードが描かれたのかもしれませんね。

NASA – http://spaceflight.nasa.gov/gallery/images/station/crew-6/hires/iss006e28068.jpg, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2158924による

そして、りゅうこつ座を形作る星のひとつであり、一等星のひとつがカノープスという星です。全天でシリウス星についで2番目に明るい星です。ギリシャ神話に描かれたトロイ戦争で、ギリシア艦隊の水先案内の長として活躍した人物「Kanobos」のラテン名が由来といわれています。

ミスラは死の湖で死体を運ぶ渡し守をしていましたから、死体にとってはある意味水先案内人というか…ここでも少し縁を感じますね。

さて、そのりゅうこつ座のモチーフとなっている船というのは、ギリシャ神話に登場するアルゴーという船です。このアルゴー船にまつわる神話が興味深いのでご紹介しますね。

Johannes Hevelius – Atlas Coelestis. Johannes Hevelius drew the constellation in Firmamentum Sobiescianum, sive Uranographia, his celestial catalogue in 1690., パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=238268による

ある日、イアーソンという王子が「黄金の牡羊の毛皮をとってきてほしい」と叔父に命じられます。この毛皮は眠りを知らない竜に守られており、王子に王位を獲られることを恐れた叔父が、どうせとりにいく途中で王子は殺されるだろうと目論み、わざとお願いをしたのです。

イアーソンは叔父の真意に気づいていましたが、その頼みを聞き入れました。毛皮をとりにいくために、イアーソンは大きな船を準備します。それがアルゴー船です。乗組員にはヘラクレスをはじめとした、当時の英雄たちが名を連ねました。

旅はいくつもの苦難に見舞われますが、北風の息子の双子や、魔女に助けられ、無事に竜から黄金の牡羊の毛皮を手に入れることができたのです。めでたしめでたし…とはいかずに、このあと色々とすったもんだがあるのですが、ここでは割愛。気になる人は「アルゴー船の遠征」で調べてみて下さいね。

さて、神話には色々と気になるキーワードが出てきましたね。王位を獲られると恐れる叔父はヴィンセントを思い出しますし、王子はアーサーを思い出します。北風の息子の双子はなんとなーくスノウ・ホワイトを連想しますし、魔女はなんかまほやくっぽい。(適当)

英雄ヘラクレスはカインの故郷である「栄光の街」に伝わる、2匹の蛇の伝説に関連してきますし、ケルベロスを退治した英雄としても有名です。カインとヘラクレスの関係は下の記事で触れているので、お時間があればこちらも読んでみて下さいね。

カイン×元ネタ

お互いの目を持っている因縁コンビ、カインとオーエン。今回はこのふたりの魔法使いに関わる元ネタについて考察していきたいと思います。前にオーエンの元ネタ「そしてだれもいなくなった」について考察しました。今回はカインの元ネタとされている[…]

とまあ色々とまほやくっぽいキーワードが出てきて、たまたまではあると思いますが、少し縁を感じますね。ここで注目するのは眠りを知らない竜について。眠らないなんて存在はミスラを思い浮かべますし、ドラゴンというのもちょっとミスラを連想しちゃいます。ミスラの育成スポットの死の湖では、ミスラが昔蘇らせようとしたドラゴンのエピソードが描かれていました。

まほやくキャラクターは有名文学作品などからモチーフを得ているのですが、ミスラは太古から続く秘教・ミトラ教のミトラ神話をモチーフにしていると思われます。実はこのミトラ教の主神・ミトラ神には、一心同体ともいえる相棒がいるのです。それがヴァルナ神。その姿は金色の蛇や、竜の姿をしているともいわれています。

このミトラ神とヴァルナ神の関係をモチーフとして、死の湖のエピソードが描かれたのでしょう。そしてそこから更に発想を進化させて、りゅうこつ座を誕生日カードのモチーフとしたのかもしれませんね。

ミスラの元ネタについては↓で考察しているので、こちらもお時間があればどうぞ!

ミスラ×元ネタ

北の魔法使い、ミスラのモチーフとなったミトラ神話。3000年前から続く神秘に包まれた宗教。ミトラ神はいったいどういった神なのか。また、まほやくミスラにはどういった影響を与えているのか。じっくり深掘りしていきたいと思います。ここから[…]

レノックスとアークトゥルスとうしかい座

お次はレノックス。モチーフになっていると思われるのが、一等星のアークトュルスによって形作られているうしかい座です。

うしかい座は牛飼いの男が2匹の猟犬を従えている姿がかたどられています。レノックスも牛ではありませんが羊飼いではありますし、かつて相棒の牧羊犬も飼っていました。なんとなーく似ている部分もあるのかも?誕生日カードでは、羊飼いらしく角笛や木の杖を持っていますね。すやすや眠る羊がかわいい…。

このうしかい座のモデルとなった牛飼いの男が誰なのか、正確には現在もわかっていません。一説ではギリシャ神話のアトラスがモデルとも言われていますね。アトラスはタイタン族の巨人神で、大神ゼウスとの闘いに敗れたのち、罰としてずーっと天を担ぐように命じられます。

エドワード・バーン=ジョーンズ – [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=32104150による

その後、メデューサを退治した英雄ペルセウスに頼み、メデューサの首を見せてもらいます。メデューサは見るものを石に変えてしまう恐ろしい怪物。アトラスは石へと変わり、しかし永遠に天を担ぐ使命から解放されたのです。

それを知った大神ゼウスは、アトラスを天へと上げ、星座にしたのでした。…というのが一説です。…レノは石にならないでね。

うしかい座の一等星のアークトゥルスは、ギリシャ語の「Arktouros / 熊の番人・熊を追うもの」が語源となっています。うしかい座のすぐ隣にはおおぐま座があり、なんだかピッタリな語源ですね。昔の人はこの位置関係を見て名前をつけたのかも。うーんロマンチック。

ルチルとベガとこと座

続いてはルチル。モチーフになっていると思われるのが、一等星のベガによって形作られていること座です。ルチルの誕生日カードには、琴を奏でながら動物たちと楽しそうに過ごす姿が描かれていますね。

ちなみに、ルチルの元ネタとなったであろう「青い鳥」幸福の花園という章では、ルネサンス建築様式の広間に緑の花園が広がり、そこで子どもたちが楽しそうに踊るシーンが描かれています。主人公のチルチル達が、すぐそばにある幸福に気づく、青い鳥のテーマともいえるとても重要なシーンです。

誕生日カードもクラシックな洋式建築の中に花園が広がっていますので、もしかしたらちょっぴり青い鳥を意識して描かれているのかもしれませんね。ルチル×青い鳥の考察はこちらにて。

ルチル×元ネタ

はじめにスマホゲーム「魔法使いの約束」に登場するキャラクターは、有名文学作品をオマージュし、立場や性格が形作られています。今回は南の魔法使い、ルチルについて考察していきます。ミチルについての考察は、また別記事にて。多少のネタバレが含まれま[…]

ブラッドリーとベテルギウスとオリオン座

つぎはブラッドリー。ちょっと彼についての考察はだいぶこじつけ臭いので、なんとなく楽しんでいただければ。モチーフになっていると思われるのが、一等星のベテルギウスによって形作られているオリオン座です。

Mouser – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=60772による

オリオン座はとても有名な星座で、ふと夜空を見上げても見つけやすい星座ですね。オリオン座のモデルといわれている、ギリシャ神話の狩人オリオンは、腕の立つ狩人ですが、傲慢な性格でもありました。

「天下には、自分ほど腕の良い狩人はいない。足の速い鹿だって、どうもうな熊やライオンだって、赤ん坊のようなものだ。俺から逃げられる獣はいない」と自慢話をするほど。それをみかねた女神ガイアが、「獲物が取れるのは私が大地に恵みをもたらしているからだろう。一体誰のおかげだと思ってるのか!」と怒りをあらわにします。

そして女神ガイアは一匹のサソリをオリオンに差し向け、オリオンはサソリの猛毒で死んでしまったのです。それを憐れんだ月の女神アルテミスが、神ゼウスに願い、オリオンを天に上げて星座となったのです。

なんというか、傲慢さがたたって周囲にあきれられたり、痛い目をみる姿は、ほんのり昔のブラッドリーと重なる部分もありますね。

また、オリオン座を形作る一等星のひとつ、ベテルギウスの語源は、アラビア語の「ヤド・アル・ジャウザ/Yad Al-Jawa / 巨人の腕」といわれています。オリオンは巨人ですので、なんとなくオリオンの腕という意味合いも連想できますね。

By Sanu N – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=74939598

別の説としては、同じくアラビア語の「イブト・アル・ジャウザ/ibṭ al‐jawzā’ / 白い帯をした羊」を語源にしたという説があります。この白い帯をした羊というのは、オリオン座の中央にある三ツ星の事。これがちょうどオリオンの腰部分にあることから、腰刺しの剣を指しているともいわれます。

誕生日カードでブラッドリーが持っている剣は、この三ツ星からモチーフを得ているのかも…しれないようなそうでもないような???

また、ブラッドリーの元ネタと思われるブラック・プリンスという小説は、シェイクスピアのハムレットが重要なキーとなっています。ハムレットは、主人公の黒衣の騎士・ハムレット王子による復讐劇であり、物語のラストに描かれる剣術試合は、涙の名シーンです。

もしかしたら誕生日カードでは、ちょっぴり元ネタも意識して描かれているのかもしれませんね。ブラックプリンスについての考察はこちら。

ブラッドリー×元ネタ

北の国で盗賊として生きていたブラッドリーとネロ。ふたりはかつて相棒として生きていましたが、後に別々の生き方を選び、そして再会しています。この奇妙な運命のモデルとなった物語とは一体何か?じっくりと考察していきたいと思います。ここから[…]

ラスティカとスピカとおとめ座

お次はラスティカ。モチーフになっていると思われるのが、一等星のスピカによって形作られているおとめ座です。誕生日カードでは幽霊の花嫁とダンスをしている姿が描かれていますね。THE☆おとめ座っぽい。

このおとめ座のモチーフは所説ありますが、今回は女神ペルセポネについてお話したいと思います。ペルセポネは大神ゼウスと豊穣神デーメーテールの娘です。

レンブラント・ファン・レイン – hQG4sLnqY3kx1g at Google Arts & Culture, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=13353003による

ある日ペルセポネが花を摘んでいると、急に大地が裂け、黒馬に乗った冥王ハデスが現れ、彼女を冥界へと連れ去ってしまいます。彼女はハデスに丁重に扱われ、結婚するようアプローチされるものの、自分の意思で冥界にきたわけではないため、うんとは言いませんでした。

しかし、大神ゼウスがハデスにペルセポネを解放するように伝えると、しぶしぶハデスもそれに応じます。ハデスはペルセポネが帰るときに、ザクロの実を4つ渡します。彼女はずっと食事を取っていなかったため、空腹に耐えかねてザクロの実を食べました。

けれど、実は冥界のモノを食べたものは、冥界に属するという決まりがあったのです。母である豊穣神デーメーテールは、娘が冥界に戻ることに抗議しますが、神々の取り決めを覆すことはできません。

ペルセポネは食べてしまったザクロの実4つ分、つまり毎年1年のうち4ヶ月を冥界で過ごすこととなり、冥界の王妃ペルセポネとしてハデスの元へ嫁いだのでした。

と、まあ一見バットエンドのようなお話ではありますが、ペルセポネはその後もハデスのそばにいる場面も多く、冥界の王妃としてのお仕事もきちんとこなしています。元はコレーという名前で、ペルセポネという名前はハデスに与えられたのですが、わりと気に入ってるのか、自身をペルセポネと名乗っています。

Publisher: Eduard Trewendt, Atelier für Holzschnittkunst von August Gaber in Dresden – Mythologie der Griechen und Römer für die reifere und gebildete weibliche Jugend,Von Julie Hoffmann; 264 Seiten, Breslau 1864, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=15261553による

ペルセポネはハデスに誘拐されて結婚したのですが、結果的には案外幸せに過ごしていたのかもしれませんね。ラスティカもクロエを誘拐してきちゃったわけですが、今はふたりとも幸せそうなので結果オーライ。このあたりのエピソードがほんのり神話と似ていますね。

ラスティカの誕生日カードでは、幽霊の花嫁とダンスを踊る姿が描かれています。カードの特性にも「舞踏会」がありますね。ラスティカのモチーフと思われる「日々の泡」という小説では、主人公の青年コランが、クロエという女性と初めて出会うシーンがダンスパーティーです。

クロエに一目ぼれしたコランが、緊張でどぎまぎしながらクロエをダンスに誘うシーンが、見ていてにやにやしちゃう微笑ましさ。誕生日カードでは、この「日々の泡」もイメージされているのかもしれませんね。もし機会があれば、小説も読んでみて下さい。考察は↓より。

ラスティカ×クロエ×日々の泡

はじめにスマホゲーム「魔法使いの約束」に登場する賢者の魔法使い達は、有名文学作品をモチーフにしてキャラクターが形作られています。今回は西の魔法使い、ラスティカとクロエを考察していきます。このふたりの考察は今回で3回目。前回まではふたりのモ[…]

また、クロエはシャルル・ペロー版シンデレラもモチーフにされているのかな、と思いますので、さながらラスティカは舞踏会でシンデレラと踊る王子様でしょうか。こちらも誕生日カードのモチーフとなっていそうですね。

オズとアルタイルとわし座

次はオズ。モチーフになっていると思われるのが、一等星のアルタイルによって形作られているわし座です。このわし座を形作る一等星アルタイルの語源は、アラビア語の「Al Nasr al Tair / 飛ぶ鷲」と言われています。誕生日カードにはまさに飛ぶ鷹のような姿が描かれていますね。

このわし座のモデルは、なんと大神ゼウスが鷲に変身した姿だといわれています。わし座に関する神話が面白いのでご紹介しますね。

かつてトロイの国に、ガニメドという見目麗しい少年がいました。彼はトロイ国の王子で、女性だけではなく男性をも虜にしてしまう美しさでした。

ある日、ゼウスがトロイの国を見まわしていたところ、ガニメドを見つけ、自分の傍においておきたいと思いました。そこでゼウスは鷲の姿に変わり、ガニメドを空高くさらってしまったのです。

ウスタシュ・ル・スュール – [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=40223824による

オリンポスの山頂についたゼウスは元の姿にもどり、驚きと悲しみに包まれているガニメドにこう言います。「お前のような美しい少年がわたしの側にいてくれるなら、わたしは永遠の若さと美しさをお前に与え、人々の憧れとなるように約束しよう」と。

大神ゼウスの言うことですから、断ることなどできません。ガニメドはオリンポスに留まり、ゼウスの傍で過ごしたのでした。ただ、ガニメドも父と母に心残りがあったため、ゼウスは想いをくんで、みずがめを持つガニメドの姿を星座にしたのです。両親がいつでもガニメドの姿をみれるように、と。これがみずかめ座となったのですね。

というのが、わし座にまつわる神話です。ゼウスが鳥の姿に変身したり、ガニメドが親元を離れたりなど、ほんのりオズとアーサーを思い浮かべますね。まあオズはアーサーを中央の国に返したんですけどね。

誕生日カードには、雷をあやつるオズの姿が描かれています。オズのメインのモチーフは「オズの魔法使い」のオズであると思われますが、他にもいくつかの作品の影響を受けていると思われます。そのひとつが「魔法の国が消えていく」というファンタジー小説です。

マナが減少し魔法が失われつつある世界に、マナを得るために月を降ろす、という世界救済の旅を描いた小説です。なんだかまほやくっぽい。この物語に登場する世界最強の魔法使い・ウォーロックは、城を宙に浮かべ、稲妻で軍隊を撃退し、幻の都市を造って一夜にして破壊するという、スーパーサイヤ人っぷり。少しオズっぽいですね。

オズの誕生日カードも、ウォーロックを意識して描かれているのかもしれませんね。ちなみに、ギリシャ神話の全知全能の神ゼウスも、宇宙を破壊できるほど強力な雷をあやつります。強キャラって雷好きなんですかね?

「魔法の国が消えていく」についての考察は↓になりますので、こちらもお時間があれば。

魔法の国が消えていく

まほやく世界は有名文学作品をオマージュして世界観が作られています。聖書の「神と信徒」の関係性がオマージュされていたり、オズの魔法使いのように5つの国に別れていたりなど。今回はその2作品に加え、もうひとつオマージュされたであろう作品[…]

ファウストとフォーマルハウトとみなみのうお座

お次はファウスト。モチーフになっていると思われるのが、一等星のフォーマルハウトによって形作られているみなみのうお座です。12星座に数えられるうお座とは別の星座ですね。誕生日カードには水から生まれたきらめく魚たちが描かれています。

みなみのうお座は、みずかめ座から流れる水を飲む魚の姿が描かれています。このみずかめ座は、オズの誕生日カードのモチーフ、わし座の神話にでてきたガニメドです。ガニメドは立ち位置的にアーサーを連想させますので、それと縁があるみなみのうお座は、ファウストっぽい……かどうかは、あなたの判断にまかせます(笑)。

みなみのうお座を構成する一等星フォーマルハウトの語源は、アラビア語の「fam al-ħūt / 魚の口」に由来します。秋に見られる唯一の一等星で、まわりには他に明るい星はありません。なので見つけやすくはあるのですが、ちょっと寂しい星ともいわれていますね。秋のひとつ星なんて呼ばれ方もしています。自ら孤独に走りがちなファウストっぽい?

ファウストの元ネタはまだ読めていませんので、履修したら追記していきますね。

アーサーとデネブとはくちょう座

ラストがアーサー。モチーフになっていると思われるのが、一等星のデネブによって形作られているはくちょう座です。はくちょう座のはくちょうとは、一般的な水鳥の白鳥のこと。アーサーの誕生日カードには水鳥ではありませんが、白い鳥が描かれているので、はくちょう座がモチーフかなあと推測してみました。

はくちょう座の由来となる神話は所説あるのですが、今回はキュクノスにまつわるお話をしたいと思います。

あるところに、エジプトのメプロス王を父に持つ、ファエトンという少年がいました。ファエトンはずっとメプロスを父と思っていましたが、実は太陽神ヘリオスが本当の父親であることを知ります。

そこでファエトンはヘリオスのもとへ行き、本当に自分の父であるのかききました。太陽神ヘリオスは言います。「自分が父親であることを証明するために、喜んで何でもしよう」と約束をします。それをきいたファエトンは、自分に日輪の馬車を操縦させてほしいと願いました。日輪の馬車とはすなわち太陽であり、きっちりと決められた軌道を走らなければなりません。

ヘリオスは驚きましたが、約束した手前、それを許可しました。ファエトンは初めは上手く操縦できていましたが、馬が乗っているのがヘリオスではないことに気づくと、急に暴れ始め、馬車の高度があがったり下がったりしたのです。それにあわせて地球の温度も変化し、大きな砂漠ができたり、川が干上がってしまうなど、ひどい有様。

By digital cat from München, Bavaria – Residenz Eichstätt – Deckenfresko, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=120613043

それを見かねた大神ゼウスは、しかたなく雷矢でファエトンを射貫き、彼は川へと落ちました。ファエトンの親友であるキュクノスは、せめて亡骸だけでもと川を探しましたが、結局みつけることはできませんでした。

その後、キュクノスは老齢になるまで友の死を悲しみ続け、白髪は白鳥の羽に変わり、死後は白鳥となって天に上がったのです。それがはくちょう座となった…というのが一説です。

なんとなーくですが、この神話からはカインやオズ、アーサーの姿が想像できたり…するかはあなたにお任せします(笑)。アーサーはまほやく本編でも白鳥にたとえられているので、それも意識して誕生日カードに白い鳥が描かれているのかもしれませんね。

また、誕生日カードには王冠や王座も描かれています。これはアーサーが中央の国の王族であることも意識しているでしょうし、アーサーのモチーフとなった「アーサー王伝説」のアーサー王も意識しているのでしょう。

過去、アーサー王伝説も考察しているので、お時間があればこちらもどうぞ。

アーサー王伝説

はじめに魔法使いの約束に登場する魔法使いたちは、有名文学作品をモチーフとしてキャラクターの根幹が形作られています。今回は中央の魔法使い、アーサーを考察していきます。アーサーのモチーフとなった「アーサー王物語」や、「オズの魔法使い」から、[…]

さいごに

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!いかがでしたか?

今回モチーフがわからないキャラクターもいましたが、果たして一等星がカードのモチーフになっているのか?皆さんもぜひ考えてみて下さいね。コメント欄などでもご意見ご感想いただいてもOKです!

まだまだ誕生日を迎えていないキャラクターがいますので、こちらも楽しみにしましょう!

それでは、また!

関連記事

元ネタ総まとめ

もうすぐ、まほやくも2周年を迎えるということで、当サイトもこれまでの考察をまとめていこうと思います。各キャラクターの元ネタ・原案について、これを見ればばっちりわかる!・・・はず!レッツ☆考察棚卸し! 更新記録各キャ[…]

まほやく×聖書

まほやく世界に燦然と輝く月。月に選ばれた魔法使いは「賢者の魔法使い」と呼ばれ、年に一度大いなる厄災と戦うことが定められている。そして、魔法使いは約束を破ると不思議の力を失い、ただの人間となる・・・。この摩訶不思議な世界の理。これら[…]

参考文献

ギリシャ神話|【アルゴー船の遠征1】イアソーンの帰還と黄金の毛皮

ギリシャ神話|【蠍座】猛毒の針でオリオンを突き刺す

デネブとアルタイルとベガの神話とは?七夕との共通点は? | 読んドコ!

星座図鑑・わし座の神話

ペルセポネー – Wikipedia

コメントにてご意見ご感想をいただけると管理人が泣いて喜びます☆
シェアしてくれたり、他の見解を述べてみたり、議論の幅が広がると更に嬉しいぞ!
考察内容は個人の見解です!真実は公式のみが知る・・・
>まほやく考察部とは?

まほやく考察部とは?

「魔法使いの約束」のあらゆる気になることを調べ、考察する個人運営サイトです。公式とは一切関係ありません。
当ページは株式会社coly「”魔法使いの約束”」の画像を利用しております。該当画像の転載・配布等は禁止しております。©coly

CTR IMG