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スノウ・ホワイトは白雪姫?実は怖いグリム童話をじっくり考察!【元ネタ考察】

古より生きている双子の老魔法使い、スノウとホワイト。今回は彼らの原案となった物語、白雪姫を考察していきます。白雪姫からふたりはどのような影響を受けているのか?

スノウ・ホワイトの原案、もとい元ネタ考察は今回で2回目。前回の「しらゆきとべにばら」についての考察も、お時間があれば読んでみて下さいね。

スノウ・ホワイト×しらゆきとべにばら

北の国の老魔法使い、スノウとホワイト。ふたりの原案となった物語は何か?原案からどんなオマージュをされているのか?じっくりと考察していきたいと思います!ここからはネタバレが含まれるのでご注意を!それではレッツゴー♪原[…]

ここからはネタバレが含まれますのでご注意を!

それでは、レッツゴー♪

グリム童話とは?

そもそも、グリム童話とはなんぞや?というお話から。世に有名なグリム兄弟が作ったお話、というのが世間一般的なイメージかと思いますが、そこから少し踏み込んで読み解いてみようと思います。

グリム兄弟

写真提供:Brüder Grimm | Helena | Flickr

兄、ヤーコプ・グリム(1785~1863)と、弟、ヴィルヘルム・グリム(1786~1859)は、当時のヘッセン方伯領、現代のドイツ中部にあった国に生まれました。ふたりとも大学の教授を務めるなど、文学・言語学などにおいて大きく貢献した学者です。

ふたりは学生として大学に通っていたころから、童話や伝説といったものに興味があり、収集していましたが、しばらくして出会ったロマン派の詩人、アルニムに感化され、本格的に童話の収集にあたります。様々な人々から口承されてきた童話、メルヒェンを聞き集めたのです。

エーレンベルク稿

メルヒェンとはドイツ語で童話という意味。口承なので、しっかりとした本があるというより、日本語の響きだと民謡と表現したほうが近いですかね。これら49のメルヒェンを集めてクレメンス・ブレンターノという詩人に「出版してくれ!」と原稿を送りますが、ブレンターノが失くしたのか何なのかわかりませんが、原稿が紛失します。えー。(この紛失した原稿は後にフランスの修道院でみつかり、幻の初稿・エーレンベルク稿と呼ばれるようになります。)

これが1810年の出来事。それでも諦めなかったグリム兄弟は1812年に「子どもと家庭のメルヒェン」の初版を発行します。これが後に「グリム童話」と呼ばれるようになるのです。この「子どもと家庭のためのメルヒェン」は1810~1857年にかけて7版まで出版されており、都度お話にマイナーチェンジがされているんですね。

グリム童話とは童話集のこと

ここまでお読みいただくとわかると思いますが、グリム童話とは1からグリム兄弟が創作したのではなく、口承されてきた童話・メルヒェンをグリム兄弟が改修した物語集なのです。

今回考察する白雪姫も同様で、語ってくれたのはマリー・ハッセンプフルーク。彼女は赤ずきん・いばら姫といった、おなじみの童話も一緒に語っています。いばら姫なんかは、1.5周年イベントストーリー「きみに花を、空に魔法を」のモチーフともなっていますので、ぜひ、いつか考察してみたいものですね。

話はそれましたが、この版によってマイナーチェンジがされている、というのがスノウ・ホワイトの考察に意外と重要になってきます。

あらすじ

ここからは白雪姫のあらすじをみていきたいと思います。各版でマイナーチェンジがありますが、今回は決定版である第7版のあらすじをみていきます。

一番美しい王妃様(暫定)

むかしむかしの冬のこと。女王様は、雪のように白く、血のように赤く、黒檀のように黒い女の子を生みました。その女の子は、白雪姫と名付けられました。しかし、まもなく女王様は亡くなってしまい、王様は新しい王妃様と結婚しました。

王妃様は確かに美しいかたでしたが、自分が国で1番美しいと思い込んでいました。そのため、不思議の鏡に問いかけます。「鏡よ鏡。この国で一番美しいのは誰?」

鏡はこう答えます。「王妃様。あなたがこの国で一番美しい。」この鏡は真実しか言わないことをわかっていた王妃は、その答えに満足しました。

7歳で一番美しくなっちゃった白雪姫

しばらくして、白雪姫がすくすくと育ち7歳になったころ。再び王妃様が鏡に問いかけます。すると鏡はこう答えました。「白雪姫はあなたより千倍美しい。」と。

それに怒った王妃様は、狩人を呼びつけ、白雪姫を森で殺すように命令しました。その証拠に、白雪姫の肺と肝臓を持ってくるように言ったのです。

狩人は命令通りに白雪姫を森に連れていきました。そしていざ殺そうとするものの、白雪姫が可哀想に思えたので、見逃すことにしたのです。肺と肝臓は、ちょうどイノシシの子どもがいたので、それを殺して王妃様へと差し出しました。王妃様はそれを塩味で調理し、たいらげたのです。うげー。

小人と出会う(ハイホー♪)

写真提供:Hermann Vogel illustration | Kinder- und Hausmärchen gesamme… | Flickr

さて、森に置いてけぼりになった白雪姫は、小さな小屋を見つけました。森を走り続けてへとへとになっていたのか、白雪姫はベッドでぐっすりと眠ってしまいました。そこに帰ってきたのは7人の小人。小人達は「これはまあ驚いた!」「なんて美しいんだろう!」と口々に言います。そして、そのまま白雪姫を寝かせてあげることに。

翌朝、起きた白雪姫は小人達に驚いたものの、継母に殺されそうになった経緯を説明しました。小人達は白雪姫を可哀想に思い、ここにいるように提案しました。家事を白雪姫が、鉱石を掘りに小人が、それぞれ役割を分担していました。

一方そのころの王妃様。白雪姫がいなくなったと思い込んだまま鏡に問いかけます。「鏡よ鏡。この国で一番美しいのは誰?」鏡はこう答えます。「七つの山を越えた、七人の小人のところにいる白雪姫は、あなたより千倍美しい!」

白雪姫は三度死ぬけど生き返る

写真提供:Hermann Vogel illustration | Kinder- und Hausmärchen gesamme… | Flickr

怒り心頭の王妃様は、ときに紐売りに、ときに櫛売りに、ときにりんご売りとなり白雪姫を殺しにかかります。三度にわたり殺されてしまう白雪姫。一度目の紐と、二度目の櫛のときはなんとか小人のおかげで助かりましたが、リンゴの毒で倒れてしまったときは、小人たちも助けることができませんでした。

悲しみ暮れる小人たち。白雪姫を土に埋めるのも忍びなく、ガラスの棺をあしらえて、その中に白雪姫を安置しました。そこにひとりの王子様が通りかかります。王子様は白雪姫に一目ぼれ。棺を運ぼうと召使いたちが肩に担ぎましたが、召使いたちが藪に足をとられてよろめきます。

すると、白雪姫から、のみ込んでいた毒リンゴの塊が喉から飛び出し、白雪姫が生き返ったのです。

「世界中のなによりも、きみのことを愛してる。一緒に父の城に行こう。僕の妻になってほしい。」王子が白雪姫にプロポーズし、それを白雪姫も快諾。盛大な結婚式の準備が始まりました。

灼熱のおしおき

そしてこれまた、一方そのころの王妃様。またもや白雪姫がいなくなったと思い込んだまま鏡に問いかけます。「鏡よ鏡。この国で一番美しいのは誰?」鏡はこう答えます。「山やまをこえた七人の小人のところにいる白雪姫は、あなたより千倍美しい!」

白雪姫が生きていたことにショックを受ける王妃様。どこからか結婚式が開かれ、若い王妃が誕生すると聞き及んだのでしょうか、王妃はそれが白雪姫なのか確認したく、いてもたってもいられなくなりました。

結局、結婚式に出席した王妃様。そこで、若い王妃が白雪姫であることがわかり、恐れおののき身動きがとれなくなります。…と、炭火の上で熱せられた鉄の靴が女王の前に置かれました。女王はその靴をはかせられ、死ぬまで踊り続けたのです。

めでたしめでたし。

スノウ・ホワイトのビジュアル

ここからはスノウ・ホワイトが白雪姫から受けている影響をみていきます。まずはビジュアルから。

髪と瞳の色

スノウ・ホワイトは黒髪に金の瞳が印象的ですが、白雪姫からはどのように影響を受けているのでしょう?白雪姫は一般的には黒髪で白い肌、というイメージがありますね。実は冒頭でお話した幻の初稿・エーレンベルク稿では、白雪姫は金髪に黒い瞳だったのです。

初稿→金髪・黒い瞳

7版→黒髪・瞳の色は謎

こうしてみると、キーカラーである金と黒がスノウ・ホワイトにも引き継がれていますね。ちなみにふたりの魔道具でもあり、父さま・母さまと呼んでいる人形は金髪に金の瞳ですね。帽子につけている薔薇は、スノウ・ホワイトのモチーフとなっているもう一つの童話「しらゆきとべにばら」から影響を受けているのかもしれません。

ふたりだけになったのは7歳?

白雪姫は7歳で継母に捨てられました。スノウ・ホワイトも物心ついたときからふたりで過ごしており、親の顔は知りません。ものごころついたころって何歳?と思いますが、この辺りは人によってだいぶ考えが異なるでしょう。だいたい4歳~7歳くらい?

もしかしたら童話にならって、スノウ・ホワイトがふたりで過ごすようになったのは7歳くらいからかもしれませんね。ちなみに、スノウ・ホワイトの身長は135cm。これは日本男子の平均身長だと9~10歳くらい。世界的な平均身長でみても、だいたい9歳くらいの身長です。

魔法使いは魔力が充実してくると、身体の成長が止まります。つまり、スノウ・ホワイトは9歳ぐらいに魔力が満ちたということですね。ホワイトが死ぬ前の双子はおそろしく強かったともききますから、9歳でその魔力を得たふたりは本当に稀有な存在だったのでしょう。だからこそ悠久の時を生き抜くことができたのかもしれませんね。

白雪姫に登場するアイテムたち

正直な鏡とスケジュール管理肖像画

白雪姫にでてくる魔法の鏡。聞かれたことに正直に答える、まあなんというか空気の読めない鏡ですね。まほやくでは、スノウ・ホワイトが互いに相手を描いた肖像画が自室に飾ってあります。この肖像画は魔法がかけられており、予定を聞くとその日のスケジュールを答えてくれるのです。

問いかけたら返答する、という点で白雪姫の魔法の鏡をオマージュしているように思えます。それに関連してか、スノウ・ホワイトは大いなる厄災の傷で、夜になると絵に閉じ込められてしまいます。

まほやくのスノウ・ホワイトのエピソードにおいて、自分の姿が描いてある肖像画を鏡としてみたてている節がみられますので、この厄災の傷も鏡に閉じ込められている姿をイメージして、白雪姫からオマージュしているのかもしれませんね。

大いなる厄災の傷は、原案の物語からオマージュされていることが多いですが、その法則性はわからず。そのうちじっくりと考察してみたいものです。

鉱石とカラフルな紐とガラスの棺

白雪姫にはいくつかキーワードが登場します。小人が山へ鉱石を掘りに行く、白雪姫が色とりどりの紐を物売り(継母)から買う、白雪姫がガラスの棺に安置される、など。他にもちらほらとキーワードがでてきますが、今あげたものを組み合わせると、ほら、なんとなーくステンドグラスが想像されませんか?(無理やり)

スノウ・ホワイトはステンドグラス職人でもあります。このステンドグラス職人という設定は、白雪姫に登場するキーワードから連想されて生まれたのかもしれませんね。

雪と血とマーシアの実

ちなみに、他にも白雪姫にはくしやりんごといったアイテムが登場します。どちらも継母が白雪姫の殺害に使用したアイテムですね。りんごは氷の町にあるマーシアの実でオマージュされている気がしなくもなく。同じ赤い実というだけなんですけどね。

白雪姫の冒頭で、王妃様(白雪姫の本当のお母さん)が、針で指を刺してしまい、血が雪の中に落ちるシーンが描かれています。これはヨーロッパ文学においては愛や情熱、生命力などを象徴する、美しさをあらわしたシーンなんだそう。その後、王妃様は「雪のように白く、血のように赤く、黒檀のように黒い子供を授かりますように」と願い、そのとおりに白雪姫が生まれたのです。

つまり、雪に血が滴り落ちる様から生命力を感じさせ、白雪姫の誕生を盛り立てた、というシーンになります。

まほやくにおいてもオマージュされたような描かれ方をしていますね。雪の街のエピソードにて、両親を亡くした子どもに、ホワイトがマーシアの実と生きる居場所を与える。そしてマーシアの種子が血のように雪に散らばる。その様が美しく描かれた印象的なシーンです。

マーシアの実は子宝の実とも呼ばれており、子孫繁栄の願いが込められた実です。実際に白雪姫のように生命が誕生したわけではありませんが、マーシアの実の異名から、今後生まれてくる命への希望、親を亡くした子どもの再出発を予感させる、生命力が感じられるシーンとなっています。

このあたりのシーンは白雪姫の冒頭を意識して描かれたのかもしれませんね。

生き返った白雪姫と幽霊のホワイト

白雪姫は合計で3回継母に殺され、そのたびに生き返ります。正確に言うなれば、1回目と2回目は「死んだように倒れた」と表現され、3回目に「死んだ」と表現されているため、完全に死んだのは1回になりますね。

3回目は継母にもらった毒リンゴを食べてしまい、白雪姫は亡くなってしまいます。けれど愛の力で白雪姫は復活。王子と結婚してハッピーエンドとなるのです。

ホワイトも1度死んでしまいますが、スノウの愛の力(?)で復活。また双子で過ごすことができハッピーエンド(?)となりました。死んでから復活する、という点はそのまま白雪姫からオマージュされていそうですね。幽霊ですけど。

残酷なおしおき

最後に、童話とスノウ・ホワイトに共通する残酷さについて触れておきます。この白雪姫は一応ハッピーエンドではあるものの、継母に灼熱の鉄靴を履かせるなど、残酷な面が目立ちます。これは悪いことをしたものには罰を、という童話における基本原理に則ったが故のエピソードです。

スノウ・ホワイトも悪いことをしたものには容赦ないおしおきを下しています。童話の基本原理に則った行動ですね。このあたりの思考は、白雪姫の流れから影響を受けているのでしょう。

以前、考察した「しらゆきとべにばら」は、ほとんど生々しい残酷さはなく、最初から最後まで仲のいい美しい姉妹愛が感じられた童話でした。スノウ・ホワイトの光の面を担っているとも言えますね。

対して「白雪姫」は罪には罰を与え、残酷なシーンも隠すことなく描いています。スノウ・ホワイトの闇の面を担っているとも言えますね。

スノウ・ホワイトは若い魔法使いたちからは「優しい」と慕われ、老齢の魔法使い達からは「残酷だ」と恐れられる、両極端な面をもった魔法使いです。この二面性は原案となったふたつの童話から形作られているのです。

光の童話と闇の童話。しかし、どちらも同じグリム童話に属すると考えると、それもまた面白いですね。

さいごに

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

お楽しみいただけましたか?

グリム童話は残酷だ、とは噂で聞いていたものの、よく調べてみるとかなりやらかしていてびっくりしました。まるでスノウ・ホワイトのようだ…。

今後のストーリーでも、白雪姫がオマージュされたエピソードが描かれるかも?これからの展開も楽しみにしたいですね!

それでは、また!

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参考文献

【原作全文】グリム童話「白雪姫」 初稿・初版・第2版・第7版【全セリフ】 | TanoQ

グリム童話 – Wikipedia

ドイツ民話・昔話(グリム童話)@夏貸文庫民話01

グリム兄弟年譜

ハッセンプフルーク家

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