こっとしーもたのしーいハロウィンがやーってっきたー♪ということで、今回は2023年ハロウィンイベストの考察です。このイベストのモチーフは、ずばり中国!妖怪から昔話まで、色々と考えてみますので、ぜひお付き合いを!
ここからはイベストのネタバレが含まれますのでご注意を!
それでは、レッツゴー♪
中国のゾンビ キョンシー
今回のイベストでは、SSR組の衣装がちょっと中華っぽくて素敵でしたね。これは中国の妖怪、キョンシーをモチーフにしているのでしょう。
scanned picture, Public domain, via Wikimedia Commons
キョンシーは中国の妖怪です。死後、腐乱することなく、むくりと起き上がり動き回る妖怪です。一般的なイメージとしては、中華帽子にお札が貼ってあり、両腕を前にしてぴょんぴょん飛び回っていますね。実はあれ、死後硬直で身体が硬くなっているから、仕方なくぴょんぴょん跳ねて移動しているそうですよ。
スノウ達の衣装を見ると、帽子+お札っぽい装飾がキョンシーみたいですね。また、キョンシーは色々と得意技があるのですが、そのひとつが毒爪攻撃。鋭い爪でぐさりといきます。スノウ達の爪も、まほやくではめずらしく、鋭く尖っていますね。
キョンシーは日光が苦手で、陽を浴び続けると溶けたり燃えたりしてしまいます。その設定を意識して、イベストの舞台はずっと夜のように暗かったのかもしれませんね。
ちなみに、舞台となった「夜もすがらの里」の「夜もすがら」は、漢字で描くと「終夜」となり、夜通しという意味です。イベントのタイトル「終わらぬ夜へ戯れの愛寵を」とリンクした名前となっていますね。
殺生石と九尾の狐
イベストでは「シューリス」という、狐によく似た幻獣が登場しました。時折、美少年の姿に変わり、つがいを引き寄せるために魅了の力をもつ幻獣。
このシューリスのモチーフになっていそうなのが、那須に伝わる「殺生石と九尾の狐」のお話です。那須は栃木県にあり、自然と温泉が有名な観光地。九尾の狐は、日本の昔話にもよく登場しますが、元は中国の妖怪です。この「殺生石と九尾の狐」のあらすじをご紹介しますね。
あらすじ
むかしむかし、子牛ほどの大きさで、顔が白く、金の毛に覆われ、九本のふさふさとした尻尾をもつ狐がいました。この狐は不思議な力をもち、この世のすべてを我がものにし、世界を征しようとしていました。どっかで聞いた話ですね。
美しい女性に化けた狐は、中国やインドの王達を惑わせ、悪業の限りを尽くした後に、日本に上陸。今度は「玉藻前/たまものまえ」という美女に化けて、宮中に潜り込みました。玉藻前をひとめ見た鳥羽院(当時の天皇)は、すっかり骨抜きにされて、彼女を片時も傍から離さないようになりました。
元永二年(1119年)の夏のこと。鳥羽院は玉藻前に高い位を授けると共に、祝いの会を開きました。場が盛り上がってきたとき、突如として雨が振り出し、生温かい風が走り抜け、灯を消し去ったのです。
すると、玉藻前の全身から蛍火が発せされ、次第に灯はおおきくなり、そして光は怪獣の姿を夜空に映し出したのです。周りの人々はぼう然として立ち尽くすのみ。その夜から鳥羽院は重い病気にかかり、床に伏してしまったのです。
玉藻前の正体を見破った者がいました。その名は阿部泰成。京都で名高い陰陽師であり、あの安倍晴明の子孫です。泰成が玉藻前に立ち向かって祈り続けると、彼女の姿は九尾へと変わり、「泰成、まさにわれは九尾の狐だ。もう少しで院の生血を吸いつくし、やがてこの世をわが手におさめて人の世を滅ぼそうとしたものを汝の法に破れたのは無念じゃ。」と言い残して、飛び去って行きました。その後、鳥羽院の病状は快方に向かっていきました。
九尾の狐は、那須野ヶ原へ逃げ込みました。ここでも人里に現れては悪事を重ねていたのです。狐を退治するために、名の知れた武士と、阿部泰成が那須野ヶ原へ派遣されました。一行は那須温泉で疲れを癒しつつ、狐が現れるのを待ちます。
そして、「九尾の狐、現わる」の報が告げられると、参戦していた地元の領主が、狐を射貫いたのです。
これで一件落着かと思いきや、狐は死してなお、毒石となり、人々や獣を害し続けていました。それを知った那須の和尚は、危険を顧みずに、毒石の元で一心に大乗経をあげ続けました。和尚すげえ。
すると、石の中から玉藻前の姿が現れたのです。やがてその姿は消え、石は三つに割れて飛び散り、ひとつが那須高原に残りました。人々はこの石を「殺生石」と名付け、今も実際に多くの人々に親しまれています。
九尾の狐とシューリス
イベストに登場したシューリスは、時折、美しい少年の姿となります。また、つがいを引き寄せるために、魅了の力を持つとか。美女に扮して、数々の男を魅了してきた九尾の狐に、なんとなく似ていますね。まあ、九尾の狐とは違って、地元を守護してくれる良い幻獣ですが。
九尾の狐が鳥羽院に呪い(?)をかける前に、生ぬるい風が吹いていました。何だか不穏な空気を感じさせます。イベストでも温かい風をカイン達が感じていました。イベストでは不穏な空気ではありませんでしたが、シューリスの華燭の前兆として描かれていましたね。
また、昔話では生ぬるい風と共に、雨も降っていました。イベストでも、シューリスの華燭の際に雨が降っています。このあたりも昔話を意識しているのかもしれません。あと、狐の嫁入りっぽい気もする。
九尾の狐は、死後、毒石となって周りを害していました。それを那須の和尚が浄化したのです。イベストでも、かつて毒の泉だったものを、スノウ・ホワイトが浄化しています。さしずめ、まほやく版和尚?
浄化後に残った殺生石は、今も実際に那須高原にあり、観光スポットとして人気です。那須高原といえば那須温泉!イベストでも温泉で賢者達が疲れを癒していました。
毎年5月には「那須殺生石・御神火祭」というお祭りが、那須高原で開かれます。噴火によって亡くなった大勢の霊を鎮めるために始まったといわれています。
白装束に狐の面を被った人々による太鼓や、コスプレ百鬼夜行など、普通のお祭りとは違った圧巻の祭事りです。イベストでも雰囲気は異なりますが、同じく鎮魂のための宴が開かれていますね。
ちなみに「シューリス」の名前の由来はいまいちわからず。何か思い当たる方はぜひコメントお待ちしております~。
華燭の典
最後にイベストで登場した「華燭」についてちょこっと。結婚式の上品な呼び方を「華燭の典/かしょくのてん」と言うそうです。へえー。元々は中国に由来しており、樺の皮を蝋に巻いて灯にしていました。それが時代と共に呼び方が変わり、「華燭」となったそう。竜や鳳凰など、おめでたいデザインの灯りを「華燭」と呼び、新婚の部屋によく飾られたそうです。
キョンシーや九尾の狐は、日本でも親しまれていますが、元をたどれば中国が由来です。それと同じように「華燭」も中国に由来しています。色々な部分で異色文化を感じられて楽しいですね。
さいごに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!普通に読んでも楽しい、モチーフを知るとより楽しい。お楽しみいただけましたら幸いです。
色々と調べましたが、おそらく他にもモチーフとなったエピソードがありそう。シューリスの名前の由来や、砂金を落とす下り、壺のお話など、他にモチーフがあるんじゃないかな~?ぜひ色々と考察してみて下さい!
今回のイベスト音楽良かったな~。新規モーションも素敵!まほやくくんありがとう!
それでは、また別の考察でお会いしましょう!
参考文献
陰陽師と玉藻前伝説 | 宙組公演 『白鷺(しらさぎ)の城(しろ)』『異人たちのルネサンス』 | 宝塚歌劇公式ホームページ
挿絵とあらすじで楽しむお伽草子 第9話 たま藻のまへ | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
【終了】第35回 那須殺生石御神火祭 | とちぎ旅ネット〜栃木の観光旅行情報サイト
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