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ミスラは秘教の神だった…!3000年前に生まれたミトラ神話を徹底考察!【元ネタ考察】

北の魔法使い、ミスラのモチーフとなったミトラ神話。3000年前から続く神秘に包まれた宗教。ミトラ神はいったいどういった神なのか。また、まほやくミスラにはどういった影響を与えているのか。じっくり深掘りしていきたいと思います。

ここからはネタバレが含まれる場合がありますので、原作未プレイのかたはご注意下さい。

それでは、レッツゴー♪

ミスラさんの子ども時代をイメージして、肖像画を描きました!どうです?
俺は子供の頃、消し炭だったんですか。

ミトラ神とは?

ミトラ神とは古代イラン神話にでてくる神様です。

このイラン神話から派生して、実に様々な神話や宗教に登場します。イメージとしては、イラン神話のミトラを元に、二次創作がどんどん生まれていく…みたいな感じです。民衆(ファン)達の間で大人気だったんですね。

神話や宗教によって、ミトラ、ミトラス、ミスラ、などと呼ばれます。(この記事ではあえて「ミトラ」と統一して呼ぶことにします。)

古代ですから、気の遠くなるような昔…紀元前1700年前頃から存在する、とても歴史のある神様です。

現在より3000~4000年前からいる神様ですから、正直わかっていない部分も多く、未だ研究者達の間で議論が繰り広げられています。

ですので、これからご紹介する内容も、そういった数ある学説の内の1つと認識していただければ幸いです。

ミトラ教とは?

ミトラを主神とする宗教です。とても長い間存在した宗教ですので、時代とともに少しづつ形を変えていきました。おおまかに分けると以下の通りです。

1.原始ミトラ教時代

2.西方ミトラ教時代

3.東方ミトラ教時代

4.東方神智学時代

今回は「原始ミトラ教」、「西方ミトラ教」、そして、ミトラ教ではありませんが、ミトラが出張出演する「ゾロアスター教」に焦点をあててみようと思います。

原始ミトラ教

この先、様々な神話や宗教に出演するミトラ。その原点となった宗教です。いわば原作。

紀元前1700~紀元前550年頃に流行し、ミトラの出生から始まるイラン神話を基本としています。

ミトラは火と太陽を司る神様。まほやくミスラが操る炎を連想しますね。

また、まほやくミスラの生まれた場所、「死の湖」は、ミトラの出生にかかわるエピソードに影響されています。それではミトラ出生に関わる神話をみてみましょう。

ミトラの誕生

空も海も大地もない、なにもない状態。世界がない状態から物語は始まります。

始めに、霊鳥が世界卵…とても大きな石の卵を生みます。

卵の中は空洞で、下半分は水に満たされ、その中央には島が浮かんでいました。

霊鳥は卵が孵るよう、その中に友愛を込めました。

すると、愛が卵の中で形づくられ、少年神ミトラとなりました。

ミトラは島に降り立つと、まず太陽を創り、星々を創り、フワラシを創りました。フワラシとは、後々に神々、人間、動物、植物などに分かれていくのですが、この時点では分かれる前。あらゆる命の大本となる、ちょっと抽象的な存在です。

フワラシは最初、みんな一緒に住んでいましたが、時が経つにつれて、そのまま地上に住むもの、あるいは天界に住むもの、あるいは地下世界(冥界)に住むもの…と分かれていきました。

時がたつとフワラシから分かれ、人間が生まれました。人間の数が増えていくと、しだいに争いが生まれました。これをみかねたミスラは、当時、世界を治めていた自分の子、イマに警告します。

「地上はまもなく暗く長い冬がくる。いくつかの人間や家畜、植物などを地下に避難させなさい。ただし、邪悪な者は地上に置いていくこと。」

言いつけ通りイマが動植物を避難させると、ミトラは太陽、月、星を隠し、大地は闇に覆われました。気温が下がり、霜が広がり、雪が降る。長く暗い冬が始まりました。そして地上に残された邪悪な者は、すべて冬にのまれ滅んでいったのです…。

と、かなり端折りましたが、ここまでが「死の湖」に関わるお話です。この後は世界が再生したり、実際の歴史が繰り広げられたり…という展開になっていきます。

じゃーん!湖で泳ぐミスラさんをイメージして描きました!
これも消し炭なんですが。

世界卵と死の湖

ここまでお読みいただいて気づいたかたもいると思います。

そう。死の湖は長い冬がおとずれた、世界卵の地上と似ているのです。

死の湖も世界卵と同じように、水辺の中心に島があり、そこでミスラは暮らしていました。常に雪に覆われ、人間が生きていくには厳しい世界。

ミスラの住んでいた中央の島は「死者の国」と呼ばれていますが、神話では世界の種子としての役割があり、生命を生み出すという、真逆の特性を担っています。

まほやくは原案と「逆」の設定をしている事が多いので、あえて「死者の国」にしているのかもしれませんね。

ミトラの相棒、ヴァルナ

原始ミトラ神話が語り継がれているのと同じころ、このイラン神話とは別に、インド神話にもミトラは出演していました。そこではミトラを語るには欠かせない相棒がいます。

インド神話では「ヴァルナ」という神様と2つで1つ。スノウやホワイトのように、一緒にいるのが当たり前という存在でした。

(ちなみに、このころのインドとイランは文化的な交流が盛んだったため、イラン神話とインド神話が影響しあって、わりと話がごちゃまぜだったりします)

ヴァルナは、水神にして蛇神。見た目は所説ありますが、金色の蛇や、竜の姿をしていたと言われています。

特性として、ヴァルナは、超自然的な力と呪術を後ろ盾にした「力による統治」を象徴する神様。

対してミトラは、人間(少年)のすがたで現れ、「理論的で明るく、規則正しく、穏やかで善意に満ちている」神様。

まるで、まほやくミスラは神話のヴァルナのようです。ここでも「逆」の特性を担っていますね。

また、ミトラ・ヴァルナは契約の神様でもあります。ミトラは「契約を締結・祝福する役割」…つまり、人と人を合意させる役割を担当しています。ちなみに「ミトラ」とは「約束」を意味します。

対してヴァルナは「契約の履行を監視する役割」を担当していました。

ミスラにとってのヴァルナはルチル?

ここからは、ふんわりとした考察になります。

ルチルにも、ミスラや他のキャラクターと同じように、原案となったキャラクターがいるとされています。しかし、それはルチル視点の話。

もしもミスラ視点から、ルチルが何かしらの役割を担っているとしたら。それはヴァルナかもしれません。

まほやくミスラは、ヴァルナ神の「力による統治」という特性を受け継いでいるように思います。

対してルチルは、ミトラ神の「理論的で明るく、規則正しく、穏やかで善意に満ちている」という特性を受け継いでいるように感じます。

また、ヴァルナ神の「契約の履行を監視する役割」にちなんで、まほやくミスラがチレッタと交わした約束を見守る、という役割も担っているのではないでしょうか。

とはいえ、現時点ではかなりふんわりしている考察なので、今後のストーリー展開を楽しみにしたいと思います。

死の湖のドラゴンはヴァルナがモチーフ?

賢者一行は、死の湖へ巨大な骨の怪物を退治しにいきます。

その怪物はまるでドラゴンのような骨格をしています。ドラゴンといえばヴァルナを連想しますね。

しかし、まほやくミスラは群れることを好みません。自分以外は敵、というスタンスです。昔、自ら蘇らせようとした骨の怪物を、懐かしく愛おしくも思いながら、扱いきれない怪物を最終的には倒しました。

そして、賢者に「もし怪物に名前をつけるなら」と問われ、「死の湖」と答えます。

神話の世界卵内の水(海)は、アパム・ナパートという神が守護しています。話が複雑なので思いっきり端折りますが、ヴァルナ≒アパム・ナパートという説があります。

それにちなんで、骨の怪物に「死の湖」の名を与えたのかもしれませんね。

(詳しくはミスラ、アフラ、アパム・ナパートなどで検索してみてね☆)

まほやくミスラは、「ミスラ」という個を確立しています。むしろヴァルナの特性を取り込み、自身のものとしています。それ故にヴァルナのような相棒は必要としていません。このあたりも神話とは逆ですね。

神話のミトラは、愛を注がれて誕生しました。

相棒を必要としない…愛というものが未だはっきりとわかっていない「ミスラ」が、この先どういった物語を紡ぐのか楽しみですね。

ミスラの厄災の傷

まほやくミスラは、大いなる厄災に近づきすぎたせいで、なかなか眠れなくなってしまいました。実は、この傷の元となったエピソードがあります。

『ミトラ祭儀書』といい、ミトラ教の教徒達が、ミトラを讃える歌が記されています。その内容の一部がこちら。

「広い大草原の主ミトラさま、おお、正しいことを語り、理性に訴えかけ、しかも感動を与えて真理を悟らせ、千の耳と万の目を持ち、みごとなすがたをしていて、広くはるか遠くまでを見渡し、眠らず、つねに目覚めているお方よ! わたしたちは、あなたを祭ります。」

この「眠らず、つねに目覚めているお方」という部分を元にしたのでしょう。

神様にはなんてことない特性ですが、人間になると随分しんどい傷となってしまいました…。

俺を描くならもっとカッコよく描いてください。なんでどれも火にくべられた消し炭になるんです。
私の中ではとーってもカッコよく描いているんです!ほら、これとかとってもカッコいいです!
はあ。まあ、ならいいですけど。
(いいんだ…。)

さいごに

いかがでしょうか?

インド神話のミトラを語るに外せない相棒、ヴァルナ。

もしかしたら、これからのストーリー展開によって、もう少しエピソードが掘り下げられるかもしれませんね。

次回の考察では穏やかで聡明なミトラから一変、戦いの神と呼ばれたミトラとの関係を考察

していきます。

ここまでお読み下さりありがとうございました。

それでは、また!

参考文献

東條真人「ミトラ教の歴史1(新版)

東條真人「ミトラ神話.ミトラ単一神教の神話

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