12月といえば、子どもたちがわくわく楽しみに待っているクリスマス!まほやくでもクリスマスを意識したイベントストーリーが実施されたことがあり、素敵なスチルやストーリーが聖なる夜を彩りました。
今回は2020年12月17日に開催された「雪降る街のプレゼント」を考察していきたいと思います。クリスマスとミスラの関係とは?魔女ベファーナの由来とは?
ここからはネタバレが含まれますのでご注意を!
それでは、レッツゴー♪
あらすじ
ある日、賢者の枕元におかれたスノードーム。不思議なプレゼントを誰が贈ってくれたのか、賢者の魔法使いに聞き歩いていたところ、ミスラがスノードームについて知っているそう。どうやらスノードームは魔女ベファーナが賢者に贈ったらしく、マーケットへの招待状らしい。
けれど、肝心のマーケットへの行き方がわからず、どうしようか考える賢者。と、ミスラが突如スノードームを叩き割った。驚く一同だったが、ふと視界が変わると、そこはベファーナが招待した雪のマーケットだった。
予期せぬ形でマーケットへと訪れた賢者と魔法使いたち。せっかく来たのだからと、各々マーケットを楽しむのだった。
クリスマスとミトラ教
どうやら、まほやく世界にはクリスマスというイベントはなさそう。それもそのはず。もともとクリスマスとはイエス・キリストの降誕を祝う行事だからです。まほやく世界にはイエスはいませんからね。(降誕を祝う祭りの日であって、イエスの誕生日ではないよ。)
このクリスマスの起源をたどると、ちょっと興味深いエピソードが出てくるのです。それが、ミスラの原案であるミトラ教との関りです。ミトラ教について知りたい人は、過去の考察記事も読んでみて下さいね。
北の魔法使い、ミスラのモチーフとなったミトラ神話。3000年前から続く神秘に包まれた宗教。ミトラ神はいったいどういった神なのか。また、まほやくミスラにはどういった影響を与えているのか。じっくり深掘りしていきたいと思います。ここから[…]
ここからお話する説は、あくまで一説ということで聞いていただけると。クリスマスの起源については、まだまだ解明されていないことが多いのです。
クリスマスが発祥したとされる2世紀~4世紀頃のローマではキリスト教を国教としていました。しかし、当時ローマではミトラ教も流行しており、なかなかキリスト教一強とは言えない状況。この時代は宗教観に基づいて人々が行動するので、何を国教とするのかはとても重要なことなのです。
ミトラ教では冬至に「光の祭り(ナタリス・インウィクティ)」というお祭りを行っていました。冬至は昼が1年で一番短く、夜が長い日。この日を境に少しずつ昼が長くなるので、太陽の力が強まっていくと考えられていたのです。
写真提供:Mitra | Museo Arqueológico Córdoba | VIATOR IMPERI | Flickr
ミトラ教の神ミトラは太陽の神なので、この冬至からミトラが再び生まれるとされ、光の祭りを行っていました。この時代の冬至は12月25日だったといいます。ちょうどその12月25日頃に、キリスト教でもサートゥルナーリア祭という農耕祭が行われていました。美味しいものを沢山食べて、主人や奴隷の立場を気にしない無礼講で、盛大に盛り上がろう!というお祭りですね。
この農耕祭と光の祭りをがっちゃんこ。イエス・キリストを「光」にたとえて、「太陽の復活、すなわち光の復活は、イエス・キリストの復活である」として、12月25日をキリストの降誕祭としたのです。こうすることで、ミトラ教信者も祝いやすくなる、というより気づかないうちにイエス・キリストの降誕を祝っていることになるのです。というのが、クリスマス発祥の一説ですね。為政者もすごいこと考えますねー。
このミトラ教とクリスマスの関係を見越して、このイベントではミスラがメインで描かれたのかもしれませんね。よかったね、ミスラちゃん。
魔女ベファーナとクリスマス
イベントストーリーで、賢者たちをマーケットに招待してくれた魔女・ベファーナ。彼女の由来とはいったい何でしょう?
イタリアはキリスト教のカトリックが主な国。12月8日の無原罪の御宿りの日(イエスのおばあちゃんが、マリアを身ごもった日)からお祝いがスタート。12月25日のイエス降誕祭を迎え、1月6日の公現祭でフィニッシュを迎えます。約1か月にもわたり、盛大にお祝いがされるのですね。
この公現祭とは、新約聖書ににおいて、東方の三賢者と呼ばれる占星術の学者たちが、生まれて間もないイエスのもとに訪問した記念日です。イエスの顕現をお祝いしているんですね。このエピソードから由来して生まれたのが、魔女ベファーナの伝承です。
写真提供:Adoration of the Magi | “We have seen His star in the East; … | Flickr
東方の三賢者がイエスの元へ向かうため旅をしていたところ、道に迷ってしまいました。そこで老婆に道を尋ね、一緒にイエスのもとへ行かないか?と誘いましたが、老婆はこれを断りました。その老婆がベファーナだったのです。
ベファーナは後から思い返し、神の子のいお祝いなら、やっぱり行けば良かった・・・と後悔。イエスは生まれたばかりの赤ん坊だと聞いたので、赤ん坊のいる家をまわり、甘いお菓子を配り歩いたのです。どこかの家にイエスがいることを願って。
この伝承に由来して、イタリアでは1月5日の夜に、子どもたちは枕元に靴下をおいてベファーナの訪問を待つのです。イタリア版サンタクロースですね。イタリアでは12月25日にサンタクロースは来てくれるのでしょうか?どうなんでしょうねー。
写真提供:Befana | Silverio Petruzzellis | Flickr
ベファーナは、1年いい子にしていたら甘いお菓子を与えて、逆に悪い子には炭をおいていくといいます。まほやくでもベファーナは万人をマーケットに呼ぶわけではなく、気に入った子のみ招待していました。そして、スノウ・ホワイトが「いい子にはご褒美を」ということで賢者をマーケットに招待するように依頼したのです。
このあたりのエピソードは、私たちの世界のベファーナ伝承を原案にしていそうですね。まあ、もし炭がでてきてもミスラちゃんはかまわず食べますが・・・。
さいごに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!いかがでしたか?
クリスマスについて調べ物をしていると、海外の素敵なマーケットの写真がたくさん目に飛び込んできて、うきうきした気持ちになりました。いつか海外のクリスマスマーケットにも参加してみたいものです。まほやくの雪のマーケットに勝るとも劣らない、素敵な体験ができるかもしれませんね。
このイベントストーリーでは、師弟というか、親子の絆みたいなエピソードも描かれているので、まだお読みでない方はぜひ読んでみて下さいね。
それでは、また!
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参考文献
クリスマスのお話「クリスマスの由来や起源、意味は?」2021年【イーフローラ】クリスマスのお花のプレゼント・ギフト特集