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ワルプルギスの夜って何?まほやく世界でモデルになった祭りを履修しよう!

まほやくでは毎年4月末~5月上旬にかけて、「ワルプルギスの夜」に関するイベントが開催されます。まほやく世界のあちこちで、ワルプルギスの夜という祭りが開催されており、そこを賢者たちが訪れる・・・というストーリーです。

実は「ワルプルギスの夜」は、私たちの世界にも実際にあるお祭りで、それをまほやくではモデルにしているのです。今回は私たちの世界のワルプルギスと、まほやく世界との関連をじっくり考察!過去のイベストを振り返りつつ、色々と考えていきましょう!

今回、古代など当時の宗教の話がでてきますが、あくまで事実は事実。どこかの視点に偏るわけではなく、なるべくフラットに見ていくようにしたいと思います。

ここからはネタバレにご注意を!

それでは、レッツゴー♪

まほやく世界のワルプルギスの夜

まず、まほやく世界のワルプルギスの夜とは、どんなお祭りだったっけ?というのを簡単に振り返ってみます。まあ、国によってはお祭りではないのですが・・・。ワルプルギスの夜に関するイベントは、この記事を書いている段階では以下のとおり。

  • 泡沫の夜の魔法にかけられて
  • 天空の宴に春を招いて
  • 硝煙に捧ぐ宴のテゾーロ
  • 闇染まる緋花に宴を捧げて
  • 絵空事歌う箱庭のピエス
  • 純白の宴と万花のダンスを

一番最初に公開された「泡沫の夜の魔法にかけられて」では、年に一度、北の魔の山に魔法使いが集まるお祭りが開かれていました。その祭りにフィガロは毎年参加しており、他の魔法使い達から一年の報告を受けたり、相談をされたりしているのです。

他国では、南は春の訪れを祝い、西では人間と魔法使いが一緒にお酒を飲んでバカ騒ぎをし、東は魔法使いや亡霊を恐れ、灯りを絶やさずにひっそりと過ごす夜と言われています。国によって実に様々な捉え方をされていますね。

実は私たちの世界のワルプルギスの夜も、地域によって内容は様々です。大きなかがり火を焚く地域もあれば、お酒を飲みまくる地域、魔女の仮装をする地域などなど。では、なぜここまで内容が様々あるのでしょう?

ここからは、私たちの世界の「ワルプルギスの夜」の起源を辿りながら、まほやくとの関連を探っていきましょう!

現実世界の「ワルプルギスの夜」の起源

さて、ワルプルギスの夜の起源を辿っていきますが、現代でも色々と説があり、はっきりとしたことは完全にはわかっていません。これからお話する内容は、あくまで一説として読んでみて下さい。

起源とされているのは、古代ケルト人たちが、4/30~5/1に行っていた春の祭りの前夜に、魔女たちがサバト(魔女たちの集会)を開いている、という言い伝えです。色々と難しい用語が出てきましたね。ひとつひとつ見ていきましょう。

サバト(魔女の集会)とは?

まず「サバト」ですが、これはユダヤ教における安息日のことです。金曜の日没~土曜の日没まで労働を休み、祈りを捧げたり聖書を読む日です。それとは別に、魔女たちが開く悪魔集会という意味を持ちます。なぜこうも正反対の2つの意味を持つのでしょう?それはユダヤ教とキリスト教の関係が深く関わってきます。

The Witches Sabbath, by Frans Francken II

Frans Francken the Younger, Public domain, via Wikimedia Commons

超ざっくりとユダヤ教とキリスト教の関係を表すと、まずユダヤ教が「聖書」を聖典として発足します。そしてユダヤ教から派生してキリスト教が発足します。つまりキリスト教は、ユダヤ教ver2みたいなものです。

しかし、ユダヤ教信徒からすれば、何を勝手にver2作ってるねん。教えの内容も違うしなんなん?という認識。キリスト教もユダヤ信徒を見下し、両者の溝は深まっていきます。

一方、魔女たちの集会は「シナゴーク(ユダヤ教の教会堂)」と呼ばれていました。圧倒的に勢力図を拡大していたキリスト教側が、ユダヤ教を見下す意味も込められていたのでしょう。それが時代を経て「サバト(ユダヤ教の安息日)」と呼ばれるようになりました。つまりサバトとは、ユダヤ教を皮肉った意味も込められているんですね。

実はまほやくでは、魔法使い達のモデルがユダヤ人っぽい部分が感じ取れます。まほやく世界の根幹の設定が聖書をモデルにしていたり、ユダヤ人と同じく迫害されている立場であったりなど。詳しくは過去の考察を読んでみて下さい。

聖書

まほやく世界に燦然と輝く月。月に選ばれた魔法使いは「賢者の魔法使い」と呼ばれ、年に一度大いなる厄災と戦うことが定められている。そして、魔法使いは約束を破ると不思議の力を失い、ただの人間となる・・・。この摩訶不思議な世界の理。これら[…]

この「サバト」とは、ユダヤ教を皮肉って魔女と結びつけ、魔女の集会という意味を持つようになったのが、なんとなく伝わりましたでしょうか?

ここでさっきの話に戻ると、「ワルプルギスの夜の起源は、古代ケルト人たちが、4/30~5/1に行っていた春の祭りの前夜に、魔女たちがサバト(魔女たちの集会)を開いている、という言い伝え」とお話しました。もうひとつ、難しい用語が、古代ケルト人ですね。

古代ケルト人とは?

ケルトとは、古代ローマにおいて「未知の人」という意味を持ちます。古代ケルト人とは、正確にどこの国の人という位置づけはありませんが、中央ヨーロッパでケルト文化が発祥し、北ヨーロッパに広まっていきました。なのでドイツ〜アイルランドあたりですね。

なぜ古代ローマにおいて「未知の人」といわれるかというと、ケルト人達はずーっとその土地で暮らしていたため、独自の文化が発展していたのです。自然信仰や多神教などなど。つまり日本の八百万の神様と同じように、沢山神様がいるということですね。

ローマ帝国も初期は多神教でしたが、次第にキリスト教勢力が広まり国教となりました。キリスト教は一神教、つまり神様は1柱のみです。宗教の違いにより、ローマ人からみて「未知の人」というわけですね。

ここで「サバト」の語源について思い出していただきたいのですが、これにはキリスト教側がユダヤ教を皮肉った経緯がありました。勢力が強いと、異端者を迫害する傾向が強いものです。

キリスト教側から見て、ケルト人は謎の異端者です。そのため「ケルト人が4/30~5/1に春の祭りをやってるけど、きっと前夜にサバトをやってるだろ~」という、なんとも皮肉な言い伝えが生まれたのではないかと言われています。なんてこったい。

これによりケルト人の春のお祭りと、サバトの言い伝えがごっちゃまぜになり、地域によって春の訪れを祝っているかと思えば、魔女の仮装をしていたりなど、内容が様々になったのです。

ワルプルギスの語源とは?

ちなみに「ワルプルギス」とは、どういう意味なのか気になりますね。これはキリスト教の宣教師である、聖ワルプルガが語源とされています。女性の宣教師なのですが、5/1が列聖(れっせい)日となっています。列聖、つまり聖人と認定された日ですね。

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Johnny Chicago at lb.wikipedia, CC BY-SA 3.0

聖ワルプルガの列聖日である5/1はお祝いの日とされています。で、ここらへんはあまりはっきりとしていないのですが、おそらく、列聖日とケルト人の春のお祭りと、サバトの言い伝えがごっちゃまぜになり、色々ひっくるめて「ワルプルギスの夜」と呼ばれるようになったと思われます。すーぱーみきさー。

まほやくのモデルとなったワルプルギスの夜

泡沫の夜の魔法にかけられて

ここからは、私たちの世界のワルプルギスの夜が、まほやく世界にどのようにモデルになったかみていきましょう!

まずは、まほやくで初めてワルプルギスについて触れられた「泡沫の夜の魔法にかけられて」について。このイベストでは、北の国の魔の山で、年に一度魔法使い達のお祭りが開かれるというものでした。

私たちの世界のワルプルギスの夜の伝承は色々ありますが、代表的なのはブロッケン山で4/30~5/1未明に行われる、魔女たちの集会です。ブロッケン山はドイツ北部にある山地の山で、登山者の影が霧に投影されてできる視覚効果「ブロッケン現象」が起こりやすいことでも有名です。山での魔女集会、というのはまほやくのイベストのモデルになっていそうですね。

また、まほやくファウストのモデルであると噂の、ゲーテ作・戯曲「ファウスト」でも、ブロッケン山のワルプルギスの夜が描かれています。なんというか、あんまりはっきりとここには書けない乱痴気騒ぎを歌っているので、気になる方はググってみて下さい笑。

ちなみに、戯曲ファウストには「ヘレナ」という女性がでてくるのですが、その話はまた後ほど。

天空の宴に春を招いて

続いては、先ほどのイベストの翌年に開催された「天空の宴に春を招いて」について。南のワルプルギスの夜は、春の訪れを祝う宴だと言われています。ルチルは幼いころに、南のワルプルギスの夜を見た記憶がありますが、だいぶおぼろげ。南で起きた事件の調査をすると共に、過去の記憶を思い出していくお話です。

このイベストでは、南の村にいる「ヘレナ」という少女が、獣のようになってしまった事件の調査に向かいます。ちょっとまだ戯曲・ファウストをしっかり履修できていないので、まほやくとの関連性はしっかりと述べられませんが、ワルプルギス繋がりでモデルになっているかも?

イベストでは色とりどりの花畑の中、黄金色の川が流れていました。その川は甘い香りのする蜂蜜酒

私たちの世界のフィンランドでは、ワルプルギスは春の訪れを祝う祭りとされており、お酒をとにかく飲むお祭りなんだそう。中でも「シマ」と呼ばれる蜂蜜酒を飲む風習があり、各ご家庭で手作りしたりもするんだそう。このあたりは、まほやくイベストのモデルになっていそうですね。

ちなみにこのイベストと、ネロの雨の街の育成ストーリーは、童話「黄金の川の王様」もモデルになっていそうな気がします。これはまた別の記事で考察しますね。

さいごに

今回の考察は一旦ここでストップ!他のワルプルギスのイベストについても、調べたらまた追記していきたいと思います!

毎年「まほやくでやってるワルプルギスってなんだろう?」と思いながら過ごしてきたわけですが、調べてみると、まあ色々と歴史が絡み合っていること。調べながら大変勉強になりました。祭りに歴史あり。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

また別の考察でお会いしましょう!

参考文献

足立 隼 (Shun ADACHI) – Personal Blog – researchmap

ヴァルプルギスの夜 – Wikipedia

ブロッケン山 – Wikipedia

魔女研究史 – 千種研二

呪術的実践=知の歴史的諸相 – 黒川正剛

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