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精神分析官ブラッドリー夫人による名推理が光る!首なし死体の謎を解け!

元盗賊である北の魔法使い、ブラッドリー。賢者の魔法使いたちは有名文学作品をモチーフとしてキャラクターがつくられています。ブラッドリーの原案をもとめ右往左往してあちらこちら。今回はその調査結果を残しておきます。

今回、読んだ「ブラッドリー夫人」は、まほやくブラッドリーの原案なのか?ブラッドリー夫人とは何者なのか?を書き記していきます。

ここからはネタバレが含まれますのでご注意を!

それでは、レッツゴー♪

「ブラッドリー夫人」はまほやくブラッドリーの原案なのか?

さっそく確信にせまるのですが、「ブラッドリー夫人」は、まほやくブラッドリーの原案なのでしょうか。今回読んだ「ブラッドリー夫人」シリーズの「ウォンドルズ・パーヴァの謎」を読んだ限りでは、原案とは言えないかなーという感じです。

確かに本作の主人公であるブラッドリー夫人は、とても魅力的なキャラクターではありますが、まほやくブラッドリーと似通っている部分は見当たりませんでした。他のキャラクターの原案もいくつか読んできましたが、どの原案もハッキリと「これはまほやくにオマージュされたエピソードだろう!」とわかったものですが、ブラッドリー夫人には見当たらず。

しかし、もしかしたら、今回読んだ「ウォンドルズ・パーヴァの謎」以外のタイトルでは、オマージュされた内容があるのかもしれません。なぜなら、まだ読んでいないタイトルのひとつに「月が昇るとき」という物語があるのです。詳細は後述しますね。

原案ではなさそうな作品について記事を残すか悩んだのですが、それならそれでエビデンスを残しておくことは大切です。また、ひとつの作品としてとても面白い小説なので、ぜひ皆さんに魅力を知っていただきたく、ここに残すことにしました。まほやくに直接関係はありませんが、気づいたことも幾つかあるので。

ブラッドリー夫人とは?

概要

ブラッドリー夫人とは、正式には作品タイトルではなく、連作シリーズモノの主人公がブラッドリー夫人というキャラクターなのです。ジャンルは推理小説。シャーロックホームズシリーズと同じような形式ですね。いわばブラッドリー夫人シリーズということ。

作品タイトルは1929年に第一作が発表されてから、実に60以上にものぼる超長大シリーズなのです。長編5作はテレビドラマ化されたほど。ただし、日本語訳されているのはそのうちの数タイトルのみ。その中で一番古いタイトルが「ウォンドルズ・パーヴァの謎」なのです。

どうやら本当の第一作である「Speedy Death」は日本語されておらず、またブラッドリー夫人自体も、主人公という立ち位置ではなく、サブキャラクターのような立ち位置なんだそう。なので、実質的に「ウォンドルズ・パーヴァの謎」が第一作のようなものですね。

そして、第18作目に「月が昇るとき」というタイトルがあります。月というキーワードにひかれているだけなので他に確証はありませんが、もしかしたらこちらはまほやくと関係があるかも?ないかも?なさそうな気がするかも???

こちらも後々読んでみようと思いますので、また結果をここに追記しますね。今回は第一作「ウォンドルズ・パーヴァの謎」に注目していこうと思います。

あらすじ

イギリス片田舎にあるウォンドルズ・パーヴァという土地で、世にも奇妙な殺人事件が起きました。通常、肉屋の鉤には牛や豚の切り分けられた肉が吊り下げられているもの。しかし、その日の肉屋は違いました。吊り下げられていたのは、バラバラに切断された人間の肉だったのです。しかも、頭部だけはどこかに消えた状態で。

このおぞましい殺人事件の調査にのりだしたのは、精神分析学者であるベアトリス・レストレンジ・ブラッドリー夫人。爬虫類のような笑みと高笑いをあげる老婆であり、周りから変わった人物として奇異の目を向けられている人物です。

警察は手がかりが少ないため事件の調査に難航しますが、ブラッドリー夫人は精神分析という観点から事件の真相を導き出します。容疑者は被害者の親類、そして小さな村に住んでいる、お互い顔をよく見知った住人達。

多くの容疑者の中から真実にたどり着いたブラッドリー夫人ですが、それを警察に話そうとはしません。犯人にも致し方ない理由があり、同情の余地があると考えたからです。このまま迷宮入りになるかと思われた難事件。しかし、ウォンドルズ・パーヴァでふたつめの死体が見つかったのです。

それを機に、誤って無罪の人物を逮捕した警察。無実の者を救うべく、ついにブラッドリー夫人は真実を語るのです・・・。

ブラッドリー夫人の考察

ブラッドリー夫人の特徴

ブラッドリー夫人は、あらすじでも述べた通り、爬虫類に似た笑みと高笑いが特徴的なお婆さん。お婆さんといってもだいぶアクティブな人で、調査のためにあっちらこっちら出歩きますし、展望台にも自力で上る。だいぶ健康的なお婆さんです。

性格は、年かさゆえ若者に上からの物言いはしますし、相手の気持ちも考えずに「例えばあなたの父親が犯人だとして~」と勝手に推理をするマイペースな人。しかし、心根では犯人に同情もしますし、気に入った子の幸せを願っている優しい人物です。ただし、不気味な笑みと高笑いがその温かみをぶち壊すので、なかなか周りには理解してもらえませんが。

ここまで読んでいただくとわかると思いますが、大変魅力的なキャラクターではありますが、まほやくブラッドリーにはあまり似ていませんね。実はブラッドリー夫人はリボルバーなどの飛び道具の名手らしいのですが、そのあたりは今作には描かれていませんでした。別のタイトルで触れられているのかな?そしたらちょっと、まほやくブラッドリーを思い浮かべたりもするんですけれどもね。

精神分析による推理

先に述べたシャーロックホームズしかり、推理ものでは証拠を頼りに犯人にたどり着くのがお決まりですね。しかし、この「ウォンドルズ・パーヴァの謎」には、証拠らしい証拠はあまりでてきません。そう都合よく事が運ばないのです。

そこで、ブラッドリー夫人は精神分析の観点から犯人を割り出します。人体を切り分け肉屋に飾るという異質な事件性から、犯人の特異な精神構造を割り出す。現代におけるプロファイリング捜査のようなものですね。

この、証拠ではなく精神分析によって真実にたどり着く過程が、いままでの推理ものにはみられなかった形なので、とても面白かったです。心に注目するあたり、まほやくとも関係あるかなーとも思ったのですが、それ以上は類似点はみられず。推理の過程は、純粋に小説として面白かったので、みなさんもぜひご一読を。

聖書などからの引用

今作では、たびたび聖書や他の物語から言葉を引用して作品が描かれています。こちらもまほやくに直接関係があるわけではありませんが、まほやくにオマージュされた原案作品の引用もいくつかあるのでご紹介してみますね。

旧約聖書よりアダムとイヴ

「エデンの園のイブの直系の子孫はゆっくりとすすんで、ジムが掘り出した穴の近くに立った。」

この一文は旧約聖書の序盤に登場する、アダムとイブの話から着想を得ているのでしょう。「イブの直系の子孫」というのは、全人類のことを指します。旧約聖書において、アダムとイブは全人類の祖先に当たるからです。

このあたりのお話が知りたい方は、過去に旧約聖書について考察しているので、そちらもあわせてどうぞ。

聖書

まほやく世界に燦然と輝く月。月に選ばれた魔法使いは「賢者の魔法使い」と呼ばれ、年に一度大いなる厄災と戦うことが定められている。そして、魔法使いは約束を破ると不思議の力を失い、ただの人間となる・・・。この摩訶不思議な世界の理。これら[…]

わざわざ人類のことを「イブの直系の子孫」と表現するあたり、作者はウィットに富んだ言い回しが好きなのでしょう。キリスト教やユダヤ教圏内において、聖書は多くの人が読んだことのあるお話なので、共通の鉄板ネタとでも言えばいいのでしょうか、共通で伝わる基礎教養なのです。

もしかしたら、わたしでは気づかない深い意味が、この一文には込められているのかもしれませんね。

アーサー王物語より円卓の騎士ガラハッド

「女はもう一度横になると、円卓の騎士ガラハッドでさえ参ったかもしれない瞳を閉じた。」

円卓の騎士ガラハッドとは、アーサー王物語に登場する騎士です。聖杯を見つけるために幾人もの円卓の騎士達が旅立つのですが、聖杯を見つけられたのはガラハッドを含めた三人のみ。ガラハッドは「最も穢れ無き騎士」と呼ばれ、作中でもほぼ完璧に近い存在として描かれています。

アーサー王物語において、基本的に騎士は紳士的で、禁欲を良しとされる風潮があります。気軽に女性と関係を持ったりはしないんですね。しかし、あれやこれやとハニートラップが幾人もの騎士を襲う中、ガラハッドは無垢を貫いた騎士でもあります。

今作の「女はもう一度横になると~」のシーンは、この女性の視線が魅惑的であることを指した表現なのかな、と思います。アーサー王物語も過去に考察した記事があるので、お時間があればそちらも読んでみて下さい。ガラハッドの話はありませんが。

アーサー王物語

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旧約聖書およびヴェニスの商人より名裁判官ダニエル

「ミセス・ブラッドリーは警部の大きな手を握った。『あなたって名裁判官ダニエルさまの再来!』」

ダニエルとは旧約聖書に登場するユダヤ人男性です。実際にわたしは読んでいないのですが、ダニエルがスザンナという女性の無実を証明したエピソードがあるらしく、そこから「名裁判官ダニエル」と呼ばれるようになったそう。

このブラッドリー夫人のセリフもそれに基づいた言葉かと思いますが、どちらかというとヴェニスの商人から引用してきたのでしょう。

ヴェニスの商人の、かの有名なシーン。アントーニオの人肉裁判において、「アントーニオの心臓の肉1ポンドを切り取ってよい」と裁判官が口にしたときに、シャイロックが「名判官ダニエル様の再来だ!」と口にするのです。

まあ、このあと大どんでん返しをくらうんですけどね。このシャイロックのセリフは有名で、ブラッドリー夫人の作者もそこから引用してきたのだと思われます。ヴェニスの商人の考察はこちらからどうぞ。

ヴェニスの商人

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さいごに

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!お楽しみいただけましたか?

今回は原案とは言えなさそうな作品ではありましたが、考察とは結果や答えではなく、考える過程が楽しいものだと、個人的には考えています。そもそも小説自体が面白いので、結果がともわなくても、今回の考察も有意義だったなーと感じています。もしかしたら、別の人が読んだら原案と感じるかもしれませんしね。

まほやくくんのおかげで、わたしは随分と本を読むようになりました。感謝感激秀樹も感激。次回はもう一つのブラッドリー原案候補「ブラック・プリンス」を考察していきます。よろしければおつきあい下さいませ!

それでは、また!

参考文献

ウォンドルズ・パーヴァの謎 :グラディス・ミッチェル,清野 泉|河出書房新社

ガラハッド – Wikipedia

ダニエル – Wikipedia

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