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シャイロックはムルを変えたのか?~1500年愛憎年表と共に~【相棒考察】

いよいよ第2部も大詰め!メインストーリー第2部が佳境を迎えていますね。

今回はシャイロックとムルの関係について、じっくりと考察をしていきます。お互いに長い年月を共に過ごしてきたため、愛情も憎しみも入り混じっている愛憎コンビ。この2人の魅力をじっくりと読み解いていきます。長いのでお時間のある時に読んでね。

第2部19章までの内容をふまえて書いていきます。

ネタバレが含まれますのでご注意を!

それではレッツゴー♪

考察のゴール

第2部19章1話の「悲劇も、喜劇も、一緒に」では、本体のムルがシャイロックに「俺とあっちの俺、どっちが好き?」と尋ねました。それを聞いたシャイロックはひどく動揺し、物語を読んでいたわたし達ユーザーにも「シャイロックがここまで動揺するなんて…」という衝撃が走りました。あわわわ。

今回は、シャイロックがなぜここまで動揺したのか。また、シャイロックはムルを思い通りに変えたのか。について、とりあえず答えを出してみようと思います。いや、このふたりの心なんて計り知れませんけども。

まずはふたりの出生から歴史をたどり、関係の変化を見ていきましょう!レッツ愛憎年表!

愛憎年表 ~愛が憎しみに変わるまで~

1500年前

今から約1500年前。おそらく西の国でしょうか、ムルが誕生します。ムルは家族が宝石商を営んでおり、それに倣ってムルも宝石商をしていました。しかし、家族との折り合いが良くなかったのか、お気に入りの鉱石や宝石をいくつかもらって(おそらく勝手に拝借して)彼は旅に出ました。家族とはそれっきりのようです。

ムルが誕生してからしばらくして、西の国の貴族・ベネット家にシャイロックが生まれます。彼が生まれたのは、魔法使いが尊敬されていた時代と、人間の数が増えて魔法使いが忌避されていく時代の境目。代替わりしていくベネット家を、シャイロックは見守りながら過ごしていました。

シャイロックはベネットの土地が大好きでした。丘の上には葡萄畑が広がり、丘から見下ろす景色には、紺碧の海岸が輝いている。シャイロックは土地を心底愛していたのです。

700年前

今から約700年ほど前、ベネット家が没落し、離散しました。一族がベネットの土地を離れていく中、シャイロックだけが土地の片隅に残って、現在も続く彼の酒場を始めました。何故なら、彼はベネットの土地を心底愛していたから。シャイロックの酒場は、700年も続いているんですね。

その後、明確な時期はわかりませんが、ムルがシャイロックのバーに来店します。この当時から、ムルは学者として有名だったようです。ムルはシャイロックにこう言いました。

「きみの孤独に関する哲学を聞きたい。ないとは言わせない。この丘に張り付いて、時代の流れを傍観し続けたきみは…孤独に対して、ある種のフェチズムがあるはずだ。」

普通であれば、開いた口がふさがらないような問いかけですが、シャイロックはそれを面白いと思ったのか、酒場を閉め、ムルとふたりっきりで夜通し会話を楽しみました。ここからシャイロックとムルの友情が始まったのです。

シャイロックとムルが友情を深めてしばらくした後、ムルはとある北の魔法使いと対峙します。一度は勝利を収めたものの、その後、恨みを買った北の魔法使いに、ムルの研究成果を全て燃やされてしまいます。

800年間にわたる<大いなる厄災>の観測結果だとムルは話していました。ムルは約1500歳ですので、1500-800=早くても約700年前の出来事でしょう。

研究結果を燃やされて傷心したムルは、シャイロックの酒場を訪ねました。はっきりと口にはしていませんが、口ぶりからしてシャイロックに慰めてもらいたかったのでしょう。シャイロックも彼の気持ちを汲んで言葉をかけます。

この時のやり取りから、ふたりの間に素直ではないながらにも、強い友情や愛情が垣間見えますね。

ちなみにこの時ムルは、「俺はきみの飼い猫にはなりはしないのに」と話していますが、魂が砕けた今では、すっかりシャイロックになついた猫のようになっているのも、また皮肉ですね。

POINT:ふたりの間に友情や愛情が結ばれている

時期不明

詳しい時期は不明ですが、ムルが賢者の魔法使いに選ばれます。その後、シャイロックも同じく賢者の魔法使いに選ばれます。ムルが選ばれた時期はわかりません。シャイロックはムルから賢者の魔法使いについて話を聞いた後に選ばれたので、早くても酒場を開店した700年前以降に選ばれたのでしょう。

400年前

400年ほど前、ムルとラスティカが出会います。ムルは研究資金を調達するため、サファイアの城の姫君に会いに来たのですが、実はそれがラスティカだったというエピソードです。この時、ラスティカは”「ムルが自分のことを女性だと勘違いしていた」と話していましたが本当でしょうか…?疑問は残りますが、それについての考察はまた別の機会にしましょう。

また同じく400年ほど前、スノウとホワイトが殺し合います。その発端となったのが、スノウに投げかけたムルの言葉です。「死ぬまで孤独を経験しないことに疑問は持たないのか」と。悪気のない一言でしたがスノウには深く刺さったらしく、殺し合いをするまでに事が発展しました。

スノウ・ホワイトとオズが親しいことを知っていたシャイロックは、ムルが石にされかねないと危惧し、オズの城へ命乞いに行きます。オズは気にしていないと声をかけたものの、その当時行っていた世界征服を中断してしまうくらいにショックを受けていました。

世界最強であり、世界征服も行っていた魔王オズのもとに、一緒に命乞いに行ってあげるなど、シャイロックはムルのために身を呈していますね。良い友達を持ったな…ムル…。ここでもふたりの友情や愛情がよくわかりますね。

このムルとラスティカの出会いと、オズへの命乞いのどちらが時系列的に先か微妙なところです。ムルとラスティカのエピソードでは、西の国に戦火が迫っているという話がありましたが、これはオズのことでしょうか。それとも、オズが世界征服を放棄した後の、混乱の時代でしょうか。

フェルチ家がオズをもてなしたエピソードが別で語られていますが、その時にラスティカの姿は見なかったとオズは話しています。今後明かされるラスティカの過去によっては、この辺りの時系列がはっきりしてきそうですね。

近年

おそらく近年の話ですが、ムルが魔法科学装置を発明します。魔法科学装置は、人間でも魔法を使える画期的な発明であり、西の国を中心に急速的に発展していきます。各国にある 転送エレベーターもマナ石を原動力としているため、魔法科学装置の一種なのでしょう。これもムルが発明したようです。魔法化学装置は現在進行形で発展しているので、発明時期はそれほど昔のことではなく近年のことなのでしょう。 

この魔法科学装置によって、シャイロックが愛していたベネットの土地の景色は一変しました。動物たちは死にたえ波音は止まった。シャイロックはもともと、魔法科学装置の発明には反対していたので、それも相まってムルのことを、強く恨むようになります。 

長い付き合いですので元々思うところもあったのかもしれませんが、ムルに対して強く憎しみを抱き、関係性が変わるターニングポイントとなりました。しかし、シャイロックはムルに対する愛情を捨てることもできません。親しく思いながらも、憎み続ける。シャイロック とムルの、一筋縄では行かない関係が、ここに築きあげられたのです。愛憎コンビ爆誕。

POINT:シャイロックがムルに憎しみを抱く

その後、ムルは<大いなる厄災>に近づきすぎて、魂が砕けてしまいます。魂が砕けたムルは、言葉が通じなく、服も着ないで飛び回っているという、まるで獣のようなありさま。そこからシャイロックは言葉や情緒を教え、今のムルとなったのです。ムル…ほんっと良い友達持ったな…!

そして、まほやく世界に、私たち…もとい、今の賢者が召喚されます。ここから「魔法使いの約束」がスタートするのです…。…長!

シャイロックの心理

1500年に渡る、シャイロックとムルの歴史をたどってきました。読んでみると分かりますが、実はムルの心理描写はそれほど多くはされておらず、シャイロックの心理描写が色濃く描かれています。ムルは好奇心のままに動くことが多く、愛情・葛藤・憎しみなど、人間らしい感情はシャイロックの方が多く見受けられます。ここで一旦、シャイロックの心中を整理しておきましょう。

過去ムルに対する感情

シャイロックはムルのことを親しく思いながらも、魔法科学装置によって故郷のベネットの土地の景色が一変してしまったため、ムルのことを憎むようになります。シャイロックは生まれた時からベネットの土地で時代を見守り、ベネット家が離散した後も、そこに酒場を構えるほど、土地のことを愛していました。これは怒るのも無理がないですね。

また、故郷のことを抜きにしても、魔法科学装置は自然の摂理を超えた、いびつな力だとシャイロックは感じています。それを発明し、世界を変えてしまった事に対しても、嫌悪感があるようです。

あと、度々喧嘩してムルがシャイロックを言い負かしていたようなので、それも若干イラッときていたのかも。よく友情が続きましたね、このふたり。

POINT:ムルのことを親しく思いながらも憎む

シャイロックの美意識

今回の考察で一番重要とも言えるのが、シャイロックの美意識です。シャイロックは何かに執着したり、執念を抱きたくないようです。言い分としては、執着や執念が生まれれば、思い通りにしたくなってしまうから。ありのままを愛するということが、シャイロックの美意識なんですね。 

今はムルの世話を焼いていますが、それによって自分の思い通りにムルを育てているのではないか…と心配もしています。この心配が第2部で爆発するわけですね。 

シャイロックは何かに執着したくないと考えていますが、魂のかけらのムルはこうも指摘しています。

きみは案外執着的だから、俺への愛情を捨てられない。きみの愛する葛藤で、俺を思い続けてる。憎んだり、愛しんだり、責めたり、許したり、哀れんだり、懐かしんだりしながら。違う?」 

愛されてる自覚のある男つえええ。それは一旦置いといて…シャイロックは執着したくないと思いつつも、ムルには執着してしまう。この葛藤がめちゃくちゃ大切なキーになるので、覚えておいてください。

POINT:執着したくないのに、ムルに執着してしまう

愛憎年表その2 ~あなたを変えてしまったの…?~

一旦、ここまでの情報を整理したところで、愛憎年表の後半に行きたいと思います。え、もうお腹いっぱいだって?またまた~本番はここからですよー。レッツ愛憎! 

メインストーリー第1部

第1部では、ムルが月に恋する姿が描かれており、それに難色を示すシャイロックの姿も描かれています。おそらく、魂が砕ける前までは、ムルの月への恋心にそんなに反対はしていなかったと思います。が、魂が砕けた事件があったことで、難色が強くなったのかもしれませんね。また同じことやる気か?と。

<大いなる厄災>の傷で、シャイロックの心臓が燃えたとき、ムルは「大丈夫?」など声をかけることはなく、「痛い?」と興味津々で聞いていました。これもムルの性格をよく表す エピソードですね。

月蝕の館で魂のかけらのムルとシャイロックが対峙した時には、ここまで述べてきたムルへの復讐心を、存分に向けていました。ちょっと怖かった…笑。メインストーリーを初めて読んだ時、 愛憎コンビの魅力に虜になった賢者も多いはず。

欲望と祝祭のプレリュード

イベントストーリー「欲望と祝祭のプレリュード」もとい、西の祝祭では、魂のかけらのムルと、シャイロック達が対峙する姿が描かれています。西の祝祭で着目したいのが、ムルの心理描写です。ムルは自分の心中を多くは語りませんが、今回はムルの行動から彼の心理を探っていきます。

魂のかけらのムルと本体のムルが顔を合わせた時、本体のムルがもう一人のムルに噛み付いています。特段「嫌い」など述べたわけではありませんが、気に入らない相手なので噛み付いた、という見方もできますね。

メインストーリーや他のエピソードでもそうですが、本体のムルが過去のムルに戻りたがっている様子は描かれていません。今は今、という形で人生を楽しんでいるのでしょう。 

もっと言えば、昔の自分に戻りたくないのかもしれません。今の天真爛漫なムルを、シャイロックは可愛がってくれる。けれど、 昔の冷徹で皮肉屋な自分に戻ってしまっては、シャイロックは同じように可愛がってはくれないでしょう。最悪、復讐されるかも。

本体のムルは、魂のかけらのムルを同一個体とは認識しておらず、別個体として認識しているのかもしれません。そう考えると、出会い頭に魂のかけらのムルに噛み付いたのも、なんとなく納得できますね。

POINT:本体のムルは魂のかけらのムルを同一個体と認識していない

POINT:本体のムルは特段、過去の自分に戻りたくない

本体のムルがアントニオとカジノの賭けをしていた時、シャイロックの大切な酒場が押収されそうになります。その時、魂のかけらのムルが、自らを本体のムルに飲ませ、力を貸してくれました。

魂のかけらのムルは、本体のムルよりも過去のムルに性格がかなり近いです。自ら身を呈してシャイロックの酒場を守るその姿からは、口には出さないものの、シャイロックのことを大切に思っている様子がわかります。 

この後触れるイベント ストーリーでは、シャイロックは「ムルは自分のことを命がけで助けたりはしない」と話していましたが、もしかしたらムルの実際の気持ちとは少し違うのかもしれませんね。

POINT:過去ムル(魂のかけらのムル)は、シャイロックを大切に思っている

夢抱く飛行士のバラッド

イベントストーリー「夢抱く飛行士のバラッド」では、暴走する飛行船を賢者の魔法使いたちが止める姿が描かれています。その最中、シャイロックの心臓が燃え、飛行船の大砲に狙い撃ちにされます。寸のところでムルが助けに入ったため事なきを得ましたが、もう一瞬でも遅ければ、シャイロックもムルも大砲に粉々にされていたでしょう。つまり、本体のムルが、身を挺してシャイロックを守ったということですね。 

シャイロックとしては、「私が殺されかけても、昔のあなたなら助けたりしなかった。危機に晒された私を、せいぜい星の観測のように眺めるだけ。私が知るあなたは…そういう人でした。」と語っています。

自分がムルを作り変えてしまった…自分のために身を投げ出すような教育を、ムルにしてしまったのではないかと危惧しています。先でも述べた通り、シャイロックは何かに執着することを恐れ、ありのままを愛することを美意識としています。 ムルを変えてしまうことは、シャイロックの美意識に強く反しているんですね。

とはいえ、祝祭のイベント ストーリーを読む限り、過去のムルも自分を犠牲にできるくらい、シャイロックのことを大切にしているのでは…と個人的には思いますが、シャイロック としてはそうは考えていないのでしょう。もっとムルがシャイロックに愛情を伝えていれば…くっ…。

POINT:ムルを自分の思い通りに変えてしまったのではと危惧している

極光祈る犬使いのバラッド

「極光祈る犬使いのバラッド」では、ふたりの関係性が変化したわけではありませんが、400年前にシャイロックがムルを連れて、オズの城へ命乞いに行った際のエピソードが語られています。その当時、もしかしたらこんなやり取りをしていたのかな?と思われる命乞い再現エピソードも描かれているので、愛憎コンビファンは必見のイベントストーリーです。

その他、1.5部や2周年ストーリーでは、愛憎年表で触れたふたりの過去が語られています。こちらも要チェックですね。

ここまでのポイントまとめ

本題の第2部の話に触れる前に、ここまでのポイントを整理しておきましょう!第2部で重要になるポイントはこちら。

  • 本体のムルは魂のかけらのムルを同一個体と認識していない
  • 本体のムルは特段、過去の自分に戻りたくない
  • 過去ムル(魂のかけらのムル)は、シャイロックを大切に思っている
  • 執着したくないのに、ムルに執着してしまう
  • ムルを自分の思い通りに変えてしまったのではと危惧している

注目して欲しいのが、シャイロックの美意識ですね。何かに執着したくない。ありのままを愛したい。この生き方が第2部ではキーになります。

第2部メインストーリー

いよいよ第2部メインストーリーについて考えていきましょう。まず前菜として、シャイロックの心臓が燃えたエピソードについて考えてみます。酒場で急にシャイロックの心臓が燃えた際、苦しむシャイロックを案じて、オズが彼の意識を奪いました。

オズとしては一応親切心でやってあげたのですが、シャイロックは「快楽も苦痛も私のものです。奪わないでくださいな。」と、助けを拒んでいました。にもかかわらず、オズが意識を奪ったので、シャイロックは次の日だいぶご機嫌斜めに。

オズにキセルの煙を吹きかけるという、普段では絶対にやらなそうな大胆な行動に出ます。 それだけ怒っていたんですね。シャイロックはありのままを愛する信念がありますので、無理やり意識を奪われることは、彼の美意識に反していたんでしょう。あのオズに歯向かうほど、彼は生き方を曲げられることが嫌いなのだということを、頭の片隅に入れておいてください。

続いて本題。西の国の植物園で、魂のかけらのムルと賢者一行が対面します。魂のかけらのムルは本体のムルと同化はせず、賢者たちと同行する流れになります。その際に、本体のムルがシャイロックに問いかけます。「シャイロックは、俺と、あっちの俺、どっちが好き?」と。それにひどく動揺したシャイロックは、「私はこんなことを望んだわけじゃ…。」と苦悶するのです。

なぜシャイロックはあそこまで動揺したのか

シャイロックはムルの言葉にひどく動揺していましたが、何故あそこまで動揺したのでしょうか。今までもムルは過去のムルらしからぬ天真爛漫な振る舞いをし、シャイロックに「好きだよ」と言葉をかけてきました。過去のムルからは考えられませんね。 

「夢抱く飛行士のバラッド」では、ムルが命がけでシャイロックをかばい、その際も動揺していたものの、今回よりも幾分か落ち着いてはいました。

では、なぜ今回はこんなに動揺したのか。それは、ムルがシャイロックに嫉妬したから …もっと言うと、シャイロックに執着したからではないでしょうか。

天真爛漫さや「好きだよ」という言葉は、シャイロックだけに向けられるものではありません。他の賢者の魔法使いにも天真爛漫に接しますし、月や賢者にも「好きだよ」と言葉を投げています。つまり、シャイロックに執着しているわけではないのです。

過去のムルらしくはないものの、魂のかけらを全て本体のムルに戻したら、かつての知的なムルに戻るのではないか…とも考えているため、そこまで「ムルを思い通りに変えた」と意識はしていないのでしょう。 いずれ元に戻ると考えているのですから。

ムルが命がけでシャイロックを助けた件については、おそらくムルは他の賢者の魔法使いには行わないでしょう。シャイロックだから命をかけたし、シャイロックだけに向けられた執着です。そのため、シャイロックには「自分がムルを思い通りに変えたのでは…」という疑念が生まれた状態です。

シャイロックいわく、昔のムルは自分を命がけで助けたりはしない…つまり、シャイロックに執着などしない、というのが彼の解釈です。 

この疑念にとどめを刺したのが、ムルの嫉妬です。嫉妬なんて感情はそれに執着しないと生まれてこないものです。執着心の最終形態とも言えるでしょう。ムルは自分に執着などしない。しかし、目の前のムルは自分に執着し、嫉妬心が芽生えている。昔のムルにはありえない。新しい感情を、自我を生み出してしまった。何かを変えたくない、オズにすら歯向かうシャイロックの信念が、目の前で打ち砕かれたのです。

しかも、何かに執着するというのは、シャイロック自身が行いたくない行為です。自分が思い通りにムルを変えてしまったせいで、ムルが自分に執着している。自分のせいで自分がひどく嫌う行為を行わせてしまっている。これは、ただムルを変えてしまっただけではなく、 シャイロックにとってダブルパンチでしょう。

「ムルを変えてしまったのではないか…」と、積もりに積もった疑念にとどめを刺され、一気に爆発したのが、第2部でのエピソードなのでしょう。

シャイロックはムルを変えたのか

結局のところ、シャイロックはムルを変えたのでしょうか?ここでの「変えた」定義ですが、ムルのシャイロックに対する執着心が、魂が砕けた後に生まれたのか、という観点で考えてみます。

結論から言うと、変えたわけではない。執着心は昔からあったが、それが強くなった。また、素直に口にするようになったのではないかと思います。

西の祝祭では、魂のかけらのムルが、身を呈してシャイロックの酒場を守っていました。これは「夢抱く飛行士のバラッド」で、ムルが命がけでシャイロックを助けた姿を思い起こさせます。昔も今も、あまり変わってないのでしょうね。

先にも触れましたが、シャイロックの心理描写はストーリー中でよく描かれているのですが、ムルは自分の心中をあまり口にはしません。心中というか、自分の感情ですね。事象に関する解説や推論、他人への興味関心は饒舌に語りますが、自分の感情についてはさっぱりです。感情については、噛みついたり、身を呈して守ったりと、行動で示す人です。

そのため、昔からシャイロックに執着するような言葉はかけてこなかったのでしょう。それが、今のムルの口から発せられた。となると、ムルが変わったと認識しやすいのかもしれません。

ただ、魂が砕けた後、シャイロックは手塩にかけてムルの面倒を見てきました。ムルからすれば、親というか飼い主のような、自分に一番身近な存在。そりゃあ執着心も生まれるのは当然なので、自然の成り行きだとは思うのですが…シャイロックとしては、それも許せないのでしょうか…どうでしょうね。

ちなみに、Twitterでアンケートを採った結果こんな感じ。あなたはムルが変わったと思いますか…?

さいごに

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!一応、自分なりに答えは出してみたものの、人によって解釈はかなり別れると思います。こんな捉え方もあるんだな~くらいで楽しんでいただけますと幸いです。愛憎コンビの心中はまじで未曽有のジャングル。わからん。むり!笑

この先ふたりの関係はどう変化していくのでしょうか?個人的には、シャイロックの美意識が少し変わるのかも?と考えています。ムルに芽生えた嫉妬心を消すなんてことはできないでしょうから、あとは受け入れるしかありません。となると、シャイロックの意識や生き方が変わるわけで…どうなっちまうんだい!!

あと、あまり中の人に触れることはないのですが少しだけ…。愛憎コンビのお芝居が好きなんですよねー。シャイロックのニコニコ→怒の緩急だったり、ムルの演じ分けや戯劇的な口調だったり。第2部ボイスつくかなー?いやー楽しみですね。

HAHAHA!1万字越えたので撤退します!論文かよ!

それではまた別の考察でお会いしましょう!

See You!

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